著者は米スタンフォード大学で心理学の博士号を取得した健康心理学者。
人々の健康や幸福、成功、人間関係の向上の実践の研究で注目を集め、来日しての講演も。
本著は人々がダイエットなり禁煙なり、
何かの目標に際してそれを妨げる何かへ抵抗する力、自制心、意志力について
意志力をつかさどるとされる前頭前皮質の脳生理学、神経、身体、心理学の観点から解説し、
それらを利用した自制心と意志力と強化エクササイズを紹介。
ストレスがかかると脳内ではより生の充実を欲求する本能が強まり、
ドーパミンが分泌され興奮し理性の自制心が弱まる。
この時、呼吸が短くなっているので
まず呼吸をゆっくりにするだけで欲求を抑えられて自制心が働く、
などメカニズムが分かりやすく語られている。
他にも様々な自制心強化の方法が語られているが、
個人的に興味深かったのは、
人は意識するなと言われたことほど余計に気になり、
結果その欲求を抑えられないことがある、ということとその対策。
これもそうだが、自分が欲求が強まっている状態を冷静に見つめる、
などマインドフルネスにも通じる考え方もあったし、
誰かに悪くみられたくない恥の心が自制心を強化する、
という昔の日本人の恥を嫌った精神も自制心の強化には一役買うということが学べた。
あとは、世間のビジネスはスイーツもマックもスマホも
すべて人間のドーパミンを利用してうまく乗せられているのは前々から知っていたが、
本著でさらにそれを再確認することになった。
世間のビジネス形態を変えることはできない。
各々が考え方や行動の対策を学び、採るのが肝要である。
などを考える機会になった。
これをしなければもっと良いのに、
といったやるべきではないことに悩まされている人や、
自分のやること、目標のためのもっと意志力を向上させたい人などは、
読んでみると学べることがある本だと思います。
ではまた次の本の感想で。