1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「激しく美しい音の共演に感動!!『四月は君の嘘』第4話感想・改稿」

 

第4話の過去感想記事の改稿になります。

 

かをりとの出逢いと彼女の懸命な言動に
公生のモノトーンの世界は色付き始めた。

 

今回、公生はそのかをりのヴァイオリンとピアノ伴奏に挑む。

 

公生の数年前、神童と謳われた時期が描かれますが、
有名税という言葉があるように、
公生もまた天才少年であることへの妬みや批判の声もあったようです。

 

けれど公生にしてみると、自分は目立ちたくてやっているのではなく、
病気で入院している母を元気づける彼なりの手段としてのピアノであり、
コンクールであったのかもしれません。
公生が母親想いの子だったことがわかりますね。
だからこそ、その喪失が心的な障害にも及んでいるのでしょうか。
 

ただ、この放送時にコミックスをさきに8巻まで読み進めた視点でみると、
公生の音が聴こえないという原因は、
母親の喪失だけが理由とは単純に片づけられない問題のようです。

 

それでも公生にとっての母親が大きな、
心を割く大切な存在であったということは確かなのですが、
同時に周囲から『鬼』とさげすまれるほどの苛烈なレッスンを施した母親との思い出は、
公生にトラウマを植え付けたのもまた確かで、
このさき、ピアノと向き合っていくということは、
この母との記憶、トラウマとの対峙になることも予想されます。

 

渡と椿になんとか送ってもらってたどり着いた藤和音楽コンクール会場。

 

順番が回ってくるまでの間に少しでも演奏をよくしようと譜面に集中する公生ですが、
あまりに譜面に捉われて話しかけるかをりを無視しているので
かをりちゃんが強硬手段をかましますね。

 

このへんは暴力上等ヴァイオリニスト。

 

でも間を空けずに額同士を「こんっ」という感じに優しく突き合わせるのは、

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©新川直司講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

 

ドラマチックでときめきますね。
 

ここでかをりが口にするセリフ、
モーツァルトが空から言ってるよ、旅に出ろって」
のように、かをりちゃんはちょくちょく偉人などの名言を引用するようです。

 

創作的に見て、
こういう薀蓄や名言キャラにもバックボーンはあるわけですよね。
他人の言葉を用いるのはどういう心理か?どういう事情があるのか?
それが宮園かをりというキャラのまだあまり語られていない人生や事情を示唆し、
読者や視聴者に想像させるひとつの手法であると思えます。
 

公生の過去を描き、かをりのバックボーンをにじませる。
四月は君の嘘は根本的に
二人にスポットがあたるお話であり、
何か過去の事情や悩み苦しみとの戦いの物語の面もあるようにも受け取れます。

 

かをりに手を引かれて演奏舞台に向かう公生は、彼女について
「君は自由そのものだ」
と畏怖と憧れを含んだ感嘆の表現をします。
その彼女の返答は、
「違うよ。音楽が自由なんだよ」

 

音楽でもなんでも、やろうとすると制限、縛りがつきまとうものです。
そのどうしても有限な中で自分らしくやろうと思ったら、
それこそ公生のようにネガティブに怖がって捉われているのが馬鹿馬鹿しくなって、
『踏み出そう」』と思いたくなるものです。
それを体現しているかをり。
その姿は公生が言うように『自由』であり、
また強く、美しいのでしょう。

 

かをりの強さと美しさ。
公生が演奏中に音が聴こえなくなって演奏を止めた後で、
自分も一旦止めて、演奏中断でコンクールの評価が駄目になっても、
演奏を再会するするかをり。
 
「アゲイン」

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 ©新川直司講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

 

失敗するかも。全否定されるかもしれない。
それでも弾く、という強い覚悟がかをりにはあった。 

 

彼女のこれまでと今このときの言動に公生は己に足りない
かをりのような『覚悟』を彼自身にも奮い立たせる。

 

「この先は、暗い夜道だけかもしれない。
それでも信じて進むんだ。
星がその道を、少しでも照らしてくれるのを。
――さあ、旅に出よう」

 

このくだりから引きなおすかをりが凄く好きです。
美しい。

 

このとき、彼女のコンクールはもう終わったようなものなのに、
それでもかをりは何故弾くのか?
現時点では彼女の真意は分かりません。
多くの人にとっては怖くてたまらないこんなマネをするのには、
彼女なりの何か大切な理由があるのは確かかもしれませんが。
 

弾きなおしからの公生のピアノ伴奏は、
けれど伴奏でありながらかをりのヴァイオリンを引き立てるモノではなく、
自身の障害と戦いかをりのコンクールを成功させるために
なんとかうまく弾くために自分のもてるすべてを引っ張り出した演奏となった。

 

審査員の一人が「とんでもない」「まるで殴り合いだ」
と彼女たちを評しますが、
彼も、そして会場の聴衆も二人の演奏に魅せられ、
引き込まれているのがすごく熱い演奏シーン!

 

まさしく激情のぶつかり合いによる高め合い!!
コンクールという技術を審査する場では論外な二人の演奏でしたが、
この激しく情熱にあふれた演奏に誰もが心を震わせて、
クラシックの素人である椿と渡も惹き込まれています。
渡はかをりをただの可愛い女の子ではなく、
すげーキレイな娘だと認識が変わったようです。
紹介されて軽いノリでつきあう感じになった二人ですが、
渡はこの演奏のすごさにかをりを他の娘とは少し違う存在に感じた、かも、しれません。

 

本当、この伴奏シーンは2話のかをりのヴァイオリンに続く序盤の大きな見せ場。
公生の魂の演奏は目の光が集中領域(ゾーン)に入っているような鬼気迫る描写でした。
この演奏シーンに自分も見入って、手がぷるぷるしていました(焦&感動!!

 

かをりと公生の演奏は大喝采を浴びるのですが、
幼馴染の椿ちゃんは公生が演奏中にこれまで見せたことのないような
活き活きした表情でかをりとアイコンタクトしたりしていることに、
すこし心がザワザワしてしまったようです。

 

椿ちゃんはまだ公生への気持ちが『弟みたい』なのでしょうけれど、
このかをりの出現で微妙に彼女の心にも変化が出始めているのかもしません。
うーん、椿とかをりで公生をめぐって恋のなんちゃらがあるのでしょうか……
椿ちゃん、がんば!

 

というコンクール演奏回でしたが、

 

そのラストはいきなり
「ええええっ!?」
という感じのED入でした。

 

これはかをりちゃんは今後どうなっていくのか(ソワソワ

 

ピアノをどうにか弾き始められた公生と、
やや雲行きが怪しいかをり……
この物語、次回も楽しみです♪♪♪

 

最後に、今回のエピソードで使われたヴァイオリン曲のYoutube動画を貼っておきます。


四月は君の嘘 単行本2巻 デュオ演奏曲 序奏とロンド・カプリチオーソ

 

コミックスにも書いてありましたが、
月刊少年マガジン 四月は君の嘘 挿入曲』
Youtubeで検索すると、
公生やかをりの色々な演奏曲が聴くことができます。
お試しあれ。

ではでは~。