1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「2月の趣味読書感想まとめ~幸福なサムライとヤクザの舟を編む6つの話術生活」

というあれで、

2月に読んだ趣味本の感想をまとめます。

 

今月読んだ本はこちら。

 

 

幸福な生活 百田尚樹

サムライとヤクザ ――「男の来た道」 氏家幹人

話にオチをつける技術 伝わり方が劇的に変わる6つの話術 山田周平

舟を編む 三浦しをん

 

 

例によって読書メーターにアップした感想の

長文ヴァージョンです。

では、さくっと参りましょう~ヽ(´∀`)9 ビシ!! イェイ!!

 

 

幸福な生活 百田尚樹

 

 夫婦を中心とした愛し合う者たちの生活を描いたショート集。

彼らの生活の意外なオチが描かれています。

ラストは思わず、そう来たか! と感嘆できる作品集です。

 しかし、自分の受けたラストの印象からやや批判的になるのですが、

これはタイトルに警戒心を抱いていないと

不快感を味わうともいえます。

いわゆるブッラクな内容です。

 そういう男女間、愛の生活の裏側を描いたショートばかりです。

 

 しかし、表題の短編のラストも、

他の短編の結末の意外な事実や裏切りなどは、

現実ではもしかするとままあることでもあり、

こういうリアルを知ることに苦痛が伴っても、

そうした気持ちを読書という体験を通して疑似体験

するという意味では、本書はアリだと思います。

 

 しかし、純粋な楽しさを求める人には、

ややしんどいものがあるかもしれない本だと感じました。

自分も物によってはうわあ、というのがありました。

それでも、各短編は結末が気になり読むのが楽しい本でもありました。

 

 ちなみにこの本、知った切っ掛けは

UVERworldのヴォーカルTAKUYA∞のブログに

以前彼が読んで面白かった本として紹介されていたからです。

それを憶えていて、そのうち読もうと思っていたのをようやく読めました。

ふい~っ

 

 

サムライとヤクザ ――「男の来た道」 氏家幹人

 

 現代におけるまで、何故 『ヤクザ』 を完全に排斥しないのか?

 何故任侠の精神が政治家たちの中でも口にされ重用されるのか? 

といった 『ヤクザ』 の存在に対する疑問を追及している本。

 本著では、元来男とは戦士であり、

武士がその主流を担っていたが、

江戸の武士の役人化によって彼らが戦士として弱体化をしたと歴史学者として説明。

 

 その失われた戦士、男を任侠者たち (陸尺や荒れくれ者たち)

がその身に持っていることからくる引け目が

公的立場の男性たちにはあり、

それが強さを持った男の憧れとなり、

彼らを否定しきれないから、

現代でもヤクザに強くでられないのではないか、

と説いている。

 

 自分が思うのは、それは一面的であり、

江戸の武士たちが敗れたとはいえ、

幕府にも気骨のある戦士としての武士はいたはずで、

事務をしていたインテリ役人武士たちが

荒れくれ者に引け目を感じていただけで、

それが江戸武士の全てではないということ。

 そして、現代でも侠客じゃなくても、

堅気市井の中にも戦う意志という気概のある人間はいるように、

侠客じゃない人間がすべからく

彼らに畏敬の念や憧れを持っているわけではなく、

排斥に腰が引けているというわけではない、

というのが実際ということ。

 しかし、全体の中にはそういう 

『男、戦士としてのヤクザへの畏敬、憧憬』

を持っている人間がいるのもありえなくはない。

 

 これらから、ヤクザを排斥できない理由は一概に断定できず、

著者もこの問題に対してはまだ研究が必要としている。

 

 だが、江戸風俗、戦士、侠客の見識を深められる良著ではある。

 

 ちなみにこの本、購入したのは2007,8年頃で、

それから前半一部を読んで積んでいた本です。

 ここにきてようやく読了。

 実に10年モノの熟成を経ていますが、

しかし読んでいて思ったのですがこれは、

当時の自分ではこの本を十分に理解できず

無理に読んでも内容を活かせず、

本棚で肥しとなっていた本といえます。

 今だからこそこの著書の内容に応えられるという

手応えを得ていることから、

妥当な熟成期間だったというか、

今年のこの時を待っていてくれた本と言えます。

感謝を。

 あと、自分どんだけ鈍足なんだよ、という。

学ばねば。

 

 

 

話にオチをつける技術 伝わり方が劇的に変わる6つの話術

 山田周平

 

 文章における構成の勉強の一環として読んだ。

 話していて、

「あなたの話はオチがない」

「よく分からない、面白くない」

など言われる悩みは誰もが経験している。

 そんな悩みに対する話し方の構成を、

放送作家でもある著者が、

6つのタイプの話のオチのつけ方として説明。

『謎解き』 話術、『勘違い』 話術、

『へりくつ』 話術、『言葉遊び』 話術、

『お前が言うな』 話術、『どんでん返し』 話術

の構成の考え方、やり方を例題で説明され、

穴埋め形式で練習できる。

 

 これは、守破離の 『守』 であり、

基本の型を習うということで、

そこから自分なりに解釈を広げて、

アレンジも試みて次第にオリジナルに

発展させることも考えられるし、

ケースバイケースで使い分けることが

出来る考え方だと思われる。

お笑いなどに馴染みがあり、

感覚でこれら話術を習得している人も

いると思われるが、

改めてオチのつけ方のパターンを知る機会にもなった。

 

 

舟を編む 三浦しをん

 

 辞書の編纂を仕事とする人々の、

辞典 『大渡海』 完成までの物語。

 

 辞書編集の工程や現場の雰囲気、裏事情、

それに辞書や言葉に対しての深い考え方や想いなどが

豊かに描かれていて、

それだけでも面白かった。

 

 文字や辞書編集作業には光るモノを見せるが、

不器用で変人とされるまじめさんこと馬締。

長く辞書に携わってきた荒木、

老学者松本先生と辞書編集部の面々。

 そして、書ばかりで

長らく枯れた生き方をしていた馬締が

出逢った女性、林香具矢。

 

 彼らは互いの生き方に対して

時にもどかしさやコンプレックスや

恋心を抱いて悩み、不安で、

不器用にあがき、

それを経て生まれた言葉が新しい繋がりを生んでいく。

 

 そうした時間が言葉を知り、

言葉の力を知り、

その遣い方と深さを彼らに学ばせ、

辞書編集に熱意と愛着を持たせ、

10年以上を掛けて完成に向かわせていく。

 

 言葉によって人は自らの感情や想いを明確にし、

それによって他者と繋がっていく。

 辞書として、文学として、

娯楽としてだけでなく、

言葉にはそうした力があるのだと、

再認識させられる。

 だから、言葉をもっと大切にしていこう、

と背すじが伸びる思いにもなった。

 

 巻末に馬締のラブレター本文が掲載されているが、

うーん、ラブレターに漢文はやや装飾過多な気が……。

 まじめさんの不器用さが出ているが、

しかしそれだけ伝えたいという熱量は感じる。

 それにこれ、

こんな文章みたら辞書編集部の人も

彼は彼なりにがんばってるんだな、

と悪い人を見る気分じゃなくなるってものです。

 西岡さんは

抜きんでたところのない人の代表としての

役どころですが、

その彼の行ったファインプレーの一つだと思いますね。

 西岡さんの存在は、

辞書編纂は長い時間を掛けて、

かつ決して一人で出来るものじゃないということを

描くのに素晴らしい存在だったと感じた。

 

 そして、一見編集の中心にいる

まじめさんが主人公なようでいて、

物語はある人の語りから始まり、

杯が満たされていく……

これは、辞書編集に懸けた皆の乗る舟の物語で、

その言葉の舟によって人生の航路が拡がっていく

皆へと向けた小説だったかもしれない。

 

 

上です。

この2か月で書店員の話と辞書編集者の話を

読む機会になりました。

同じ文章、文字に関わる仕事でもこんな

仕事内容や事情、苦労があるんだな、

と刺激になりました。

 

うーん、今度はアニメ製作の現場とか、

楽家とかの小説や本を

探してみてもいいかもしれないですね。

 

では、今回はここらで。

また来月……しかし、

今冬はあまり寒くないし

雪もそれほどでもないせすが、

あまり書店に出向いていない……、

買いたい本がそろそろ溜まって来たぞい!(。>∀<。)