1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「読書感想 『ジョジョの奇妙な冒険 STEEL BALL RUN 24巻(最終巻)』荒木飛呂彦」

 

 一度は大統領によって倒されたディエゴだったが、
大統領がジョニィに勝てないと置き土産として異次元のディエゴをこちらの基本世界に連れてきた。
再来したディエゴは3部のあの能力を持ち、ジョニィを翻弄する。
息詰まる殺し合いを通してのレースファイナルステージ。

 

 互いに周囲を巻き込みながら多くの犠牲を払い、互いの能力の裏をかいて倒そうとするが、
その闘いはその後、納骨堂内で勝ち誇った彼があと一歩、扉一枚のロック(錠)を隔てて敗れ去る。
この手口は大統領の能力を逆手にとって面白かったし、
一度は絶頂といえる状況になりながら際どい差でそうはいかない辺りは面白かった。

 

 ジョニィはレースを終えてジャイロを彼の祖国に還すべく海を渡った。
 レースの結果は、レース自体はそれほどトップでステージをゴールしていなかったが、
結果を見ると総合優勝は運が最高に良かった彼だった。
この辺、彼につていは敵じゃあなく、本当に運の良いレース参加者というのが奇妙で味があった。

 

本作は、優秀な兄の陰になり自信のなさから傲慢になった少年ジョニィが、
レースを通して己を信じられる友と出会い、
その闘いを経て自らの足で前に進み始めた大いなる再生の物語だったといえる。

 

 主人公にとっては大いなる勝利ではなかった。
悲しい事も多い部だったといえる。
しかし、確かな再生と人間の強さをみた素晴らしい旅路だった。

感謝を。グラッツェ