ジャイロを取り戻したい気持ちもあり、ジョニィは大統領を信じたい気持ちで葛藤する。
それほどまでにジャイロはこのレースを通して出来たかけがえのない親友となったのだろう。
だが、そのジャイロが命を懸けて遺体とそれに希望を見出して戦うジョニィを信じ、
勝利の鍵を託してくれたジョニィ自身を、彼が信じないわけにはいかないのだ。
大統領との闘いは決着。しかしジョニィの喪失の慟哭が荒野に響いた。
だがその後に、大統領もいなくなり遺体を狙う者はもういなくなったはずなのに、
闘いの直後に遺体は持ち去られる。まだ誰か遺体を狙う敵が存在する。
そのため、大統領が設けた遺体の安置、保管場所である最終目的地であり、
同時にレースのゴール地点でもある場所を目指してジョニィはレースを再開。
彼の足は自立できる状態に快復していた。
ジョニィと確執のあった父が応援に来てくれたその想いには涙した。
本作は兄の死や遺体を探していくという点などで
スティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』をひな型としている。
『スタンド・バイ・ミー』ではゴーディの兄の死に嘆き苦しむ両親へのフォローはなかったが、
このジョニィの父の描写はそのことへの荒木先生のアンサーと受け取れる。
次巻、遺体争奪戦と大陸横断レースの決着へ。
第7部もいよいよ最終巻。何気にシリーズで1番巻数があったようですね。
長かった旅路はどういう結末を迎えるのか。次巻へ続く。
ではまた次の本の感想で。