1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「読書感想 『新約とある魔術の禁書目録』16 鎌池和馬」

 

 魔神も去り、対となる右手との闘いは次はどんな展開かと思っていると、
いきなりの大熱波による灼熱地獄の一二月と、学園都市を徘徊する異形の存在とのサバイバル。
男女すべてが水着で暑さをしのぎ、水を求めて命がけの狩りにでる。

 

表紙絵にあるようにお嬢様学校の美琴たちも競泳水着で、
食飽さんの水着や黒子とのあれこれ、吹寄とのシーンも水着だというから、
これが灼熱のなか熱中症と乾きの危機がなかったらというあたり、
上条さんである。

 

 この熱波と異形の両者に対して上条を含むそれぞれの対処する様子と、
原因に関しての追求がされていく本巻。

 

 最終的には前巻で美琴のA.A.A.介入によって退場したかと思われたあの野郎との対決になるが、
これによって上条は厳しい現実を突きつけられる。

 

 これまで様々な魔術師や聖人、超能力者、驚異的な科学の力、
天使、魔神といった存在と対峙しながらも、
博愛という理想で現実に打ち勝ってきた上条が、
ここに来てすべてを救えない人間の限界という現実に直面する。

 

正直、上里の理想送りは上条の知恵と工夫で乗り切る現実的な姿勢の前に
幻想を殺されるかませだと思っていたが、
上条の方の博愛と救いという理想に対して現実を突きつけてくる形になった本巻のラストには感心した。

 

 魔術的な対立存在はまだ存在するし、
本拠地の地下をごっそり破壊されたアレイスターも黙ってはいないだろう中、
上条は顔を伏せずに拳を握りしめるだろうことに期待。

 


ではまた次の本の感想で。