突如運あらわれ魔神たちを撃滅した上里翔流。
その魔神さえもダース単位で倒せる絶大な力、《理想送り》(ワールドリジェクター)は
上条の理解者たる元魔神オティヌスもその右手で葬ろうとする危険が浮上。
その上里の問題に、バードウェイ姉妹の問題も絡んで
上条対上里のヒーローとしての救いの対立が描かれる。
能力的には上里の方が上手。
しかし上条にはこれまで積み上げて幼い少年ながらも辛苦を経て学んだ救いの信念、主張がある。
木原脳幹を失って絶叫する面々。
その 『当たり前』 を学園都市の計画のためにこれまでどれくらい生み出しているのか、
と思ったがアレイスターはだからこそ計画に固執し絶望と苦悩するのだとも本巻では分かる。
上条のような優しさはだからこそ理不尽であふれるこの世界に必要といえるし、
アレイスターの計画のように、
巨大な理不尽という壁に抵抗するには小を切り捨てる深慮ある考えや行いも否定できない面はある。
アレイスターは学園都市の暗部を生み出し放置、利用していることからも行いは悪だが、
しかしそれも全面的に否定すべき本当の悪なのか?
本巻は、いや、とあるを通して 『救いとは』 『やさしさとは』
『ヒーローとは』 『善と悪とは』 といった
人間の営みに関する命題にも世界の成り立ちと科学魔術を通して本作は取り組んでいて、
本巻もそれについて考えさせられたといえる。
ただ、上里勢力のラノベな日常は読んでいてしんどかった。
ああいうラノベアニメしたのは一人のカットで十分です。
二人のヒーローのそれぞれのこうしたスイーツな日常を紙幅の半分くらい描かれて、
途中で胸焼けした珍しい読書となりました。
ああいうのは上条さんだけにしとくれにゃあ。
ではまた次の本の感想で。