1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「読書感想 『隠し剣 秋風抄』 藤沢周平」

 

 藤沢周平による時代小説、隠し剣シリーズの二冊目。

 

 藤沢作品の架空の藩、海坂藩を舞台に
下級武士の身分ではあるが流派の秘剣を修めた武士のさまざまな戦いと、
各話での秘剣の正体が見どころ。

 

 今回は女難や酒乱、引き裂かれた恋から狂人のフリをした武士、
偏屈であることで利用された悲運の武士などが描かれるが、
その中でも 『暗黒剣千鳥』 は冒頭の盧生が夢からも、
修助の重荷を分かってくれるかは微妙だし、
分かってくれても藩が黙っていなくてこちらも辛いその後を予感させる。

 

 しかし、あとの二編の 『孤立剣残月』 と 『盲目剣谺返し』 は
温かなラストとなり本シリーズの〆として読後感を良い物にしてくれたと思う。

 

 『盲目剣谺返し』 は2006年に山田洋次監督、木村拓哉主演で 
『武士の一分』 として時代劇映画化されたのでご存じの方も多いと思うが、
映画よりも小説の方が秘剣のすごみが増しているし、
こちらのラストの方が好みという人もいそう。興味のある方は手に取ってみて。

 

ではまた次の本の感想で。