1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「転職前の肉体労働から学んだ色々。「しごとの思い出」」


お題、「しごとの思い出」で書かせていただきます。

 

自分は十代後半からの生活習慣などの悪さから
二十歳ごろから持病ができまして、そのため学生の時間を
世間一般の多くの方々のようには過ごせなかったという過去があります。

 

それで二十代はリハビリを兼ねて肉体労働をしていたりしました。

 

最近でもちょっと話題になった、青いストライプの飛脚のあそこさまです。
ああいう大手はつてがなくても、会社自体が福祉にも力を入れていて、
そういう体調に問題のある人間の雇用もしているという側面があるのです。
本当に身体がまともに動かないような人は、
荷捌きの現場では通用しないのでメール便や伝票処理や、
小包系の荷物の処理、受付やクレーム処理などをまかされる方もいました。

 

自分は体調の面もあったのですが、
体格が良かったので
(それと十代はアホほど筋トレをしていたので……それが祟ったとも言いますが)
体調のことはまあやってみて、
ということで現場でコンベアにひっついて荷物を大型トラックに積み込むという
多くの運送会社の仕事をやりました。

 

運送会社の現場仕事にも色々あって……。

 

まず、

自分のやっていた仕事内容も説明もしたいのですが、
それにはそもそも運送会社内の業務内容について少し書きたいと思います。
知ってるよ~、という方は読み飛ばしても結構です。

 

運送会社の仕事は、ポジションとして基本が、

 

その会社が荷物の運送を請け負う、得意先の会社というのがありまして、
そこに普通の商社マンの営業マンのように毎日出向いて、
『今日の荷物』
というのを集荷してくる、
『営業、集荷ドライバー』
というポジションがあります。
これはだいたいその会社の正社員が担当します。

 

そして正社員でも色々あり、
自社に持ち込まれた、(または依頼を受けて集荷した)
個人などのお客様からの小包などの荷物(盆暮れの品や、日々の小包などが分かりやすいかと)
を、指定の個人宅へ配達する
『配達、デリバースタッフ』
(ホームデリバリー、デリバリーと呼称していました)

 

そして、自社内での様々な事務作業を行う
『事務の社員』さんたち。
(こちらは現場の肉体労働とはかなり切り離されているので、
あまり詳しい業務は知りません。
ただ、自社の事務室に用事で這入ったときは、
デスクと電話と書類、コピー機、棚など
分かりやすい事務室状態でした)

 

これらが一つの会社の営業所内でそれぞれの仕事を日々行っています。

 

そして、
自社の集荷、配達以外に
その会社と連携している他社のドライバーも出入りします。
彼らは他県(北は北海道から南は九州まで。
北海道はフェリーに乗せるコンテナに荷物を積み込み、
それを大型トラックの後部コンテナとして搭載し北を目指します)
から長距離トラックで毎日その地方から目的地への荷物を運び、
途中で特定の地域の荷物をその営業所で降ろして、
または積んで別のところに向かったり、
来た地方に帰ったりします。
(例えば、
熊本から来て、関西の中部ハブ(中継点)でいったん降ろして、
(基本、大きな会社になるほど九州から関東へ直通というのは少数派かもしれません)
そこで新たに積んで千葉や東京に走ったり、
という決まったルートを走ったり、
中部ハブで受け取った荷物を積んで熊本に帰ったり、といったように)

 

営業所では自社営業ドライバーの荷物と、他県からの長距離トラックの荷物をトラックから降ろします。
営業所の荷捌き現場では、
荷降ろし場にトラックを接岸して、そこで後部コンテナから積載された荷物を降ろし、
それをコンベアで流します。

 

このコンベアは主流が一本構内現場に通っていて、その両脇
(もしくは会社の規模によっては片側のみかもしれない)
に何本も伸びるローラーに荷物を引っ張りいれて、
ローラーから長距離の大型トラックやデリバリートラックのコンテナに
荷物を積載していきます。

 

コンベアとローラーの位置関係は『拝む』のつくりのような感じです。

 

この荷物を引っ張り込む作業を、
『荷引き』(にひき)
といいます。

運送会社ではトラックでの運搬以外の荷物に関しての肉体労働として、

 

荷降ろし、
荷引き、
荷積み、積載、

 

がメインであり花形です。
(花形という言い方は華やかな仕事を好み、
汗臭い仕事を厭う方たちからすれば失笑物かもしれませんが)

 

あとは、前述の小包系の仕事と、
貴重品を中身が破損しないように梱包して
それ用の処理(このへんは詳しくは言えません)をして配送できるようにする持ち場もあります。
これは壊れ物が多いので人を選ぶ持ち場でした。
DELLパソコンとか高級時計とか貴金属とか色々……。

 

これらの荷物ですが、
皆さんも配達されてくる荷物の箱をみるとついている伝票に
バーコードがあるのに気づくと思います。
これはおそらく全国ほぼ共通だと思うのですが、
バーコードを読み取る機器でデータ管理をしています。

 

荷物の発送の有無や追跡は
これを機器で読み取り、
事務にデータ転送して処理されて成立しています。

 

……では、コンベアで積み込む荷物もバーコードを読み取っているのか?
と思われるかもしれません。
答えはイエスです。

 

端末入力100%をスローガンに、
現場では荷積みの際にコンベアから引き込んだ荷物を
ローラーからコンテナに動かす際に端末で
ピッピとやっていくのです。

 

これらの作業を長距離トラックの運転手一人で行うのは
かなりシビアです。
一人で長い距離を運転もしなくてはならないし、
荷降ろしはその社の人間たちが手伝ってくれるにしても、
積載から端末作業まで行うのはかなりのしんどさのようです。

 

そりゃそうです。
長距離トラックのコンテナの広さだと、
荷物が冷蔵庫などの大きな物(大物)ならともかく、
小包みサイズが大量にきたら数が何10倍になるか……。

 

それを一個一個に端末を打って
下からコンテナ内の天井の高さまで(足台を使います)積んでいくのは、
腰を屈伸させる繰り返しになりますからどんなに体格がよかろうと、
体力自慢のタフガイでも身体がもちません。
それを何十年規模で続けていくのは無理があります。
運送業界も長いなかでそうした現場の人間のことを分かって、
サポートする人間を必ず配置します。

 

それが荷捌きの現場のもうひとつの存在です。
これは単純に
『現場員』です。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、(長すぎですね)
自分はリハビリとしてこの現場員として働かせていただいていました。
というか、最初はそれがヘタレだったので、他の持ち場と合わせて
(あ、○○さん体調まずそう、今は他に回ってもらおう……、
とありがたいことに配慮していただいて)
色々な持ち場に便利に使っていただいていました。
最終的には体調も結構上向いて、
荷降ろしも荷引きも大体やっていました
(それでも完璧に通用するバイタリティではなかったのですよね)

 

その仕事で関わった人たち。感じたこと。

 

正直、肉体労働の荒くれ系……というイメージのある仕事。
働いている人たちもそんな感じじゃあ?
と多くの方たちはイメージを持たれるかもしれません。

 

それは……そういう人は多いです、実際。
自分の体格に似合わず夜遅くなると持病でグロッキーになって
ふらふらになっているところなどは、
だいぶ檄を飛ばされることもありました。

 

自分は昔からたまに聞いていた言葉ですが、
『でかい図体して~~』
という蔑視もここでも人によっては言っていました。

 

ただ、それでも自分はリハビリの他に実は密に内心で
(いや、これは実は今までも友人一人にしか言っていないのですが)
そもそも十代のいい加減な生活は健康面だけではなく、
周囲の信用も損なっていて、
まずそれを回復するためにひとつどころで数年
(具体的には20代すべて)
務めあげる、という目的をもってもいたので、
周囲にネガティブな反応をされても踏ん張ってできることをしていました。

 

すると……、
1年もしないくらいですか、
周囲の反応が変わってきました。
そもそもさまざまな作業のある現場だったので、
自分もうまく出来ない仕事と、得意な仕事が明確になって、
「〇〇くんはこれ頼むわ」
「今は荷積みちょっと手伝って、でもお呼びかかったらアレ手伝ってあげて」
という風に適材適所で必要とされ、
それにいい加減周囲にも自分が体調的に問題がある人間だとも周知され、
それでもめげずに通ってきて文句も弱音も言わずに
言われたことはとりあえずやるという姿勢に、
根性は認めてもらえたようでした。

 

そうなっていく過程で分かったのが、
肉体労働の現場も多くの共同で行う仕事と一緒で、
全部ひとりでできるわけではなく、
協力しあって一つ一つの作業を済ませていくということです。
だから、それを共同作業の仲間として任せられない人間が入ってくると、
人の頭数だけいるのに(会社は人は回している、と
どういう会社でもいうと思います)負担は減らず、
むしろイマイチ使えない新人のカバーなどをして作業量は増える……

 

そりゃあ苦言の一つも言いたくなるというものです。

 

ですが、そんな現場だからこそ、
地道にやって出来ることの力を伸ばし、
周囲の力になることで、
たとえ身体に問題があっても周囲は認めてくれる、
ということを自分はあの現場の人たちから学びました。

 

(このへんは学生と違うと思います。
学生は周りと違うという理由で
ある人を叩くことを平気でする子供メンタルの集まりですが、
仕事をする大人の集まりは、
一緒に職場にいる相手は仕事のためになるかどうかが基本、一番大切なことです。
アレなOLさんたちとかは学生気分の延長で同性いびりとかあるそうです。
親戚のデパガのおねえさんが言っていました)

 

その頃から勤続5、6年あたりはもう、
荒くれさんたちと気さくに挨拶をして、
長距離トラックのおいちゃんたちとも顔を覚え合い、
「〇〇ちゃん、今日もたのんぞ!」
と声をかけられ、
「あ、○○さん、今日(営業トラックから九州行の荷物の)○○ですよ」
と情報交換したりもしていました。

(荷物の傾向が分かるとドライバーも段取りしやすいのです)

 

この現場は確かに、多くの力自慢たちが一つの仕事を共同でやるので、
ときにストレスになることがあって衝突して不機嫌になる人もいたり、
現場に檄が飛ぶこともあります。

 

自分も営業ドライバーの一人とあることで衝突して
あわや殴り合いというときもありました。
(双方に、味方して互いを止めてくれる人がいたので事なきを得ましたが。
ただ、その後にそのドライバーさんから厄介な仕事を一度受けることになりました。
自分はそれでチャラにしようや、という気持ちであえて受けて済ませたところ、
それ以後問題はありませんでした)

 

この仕事の人たちは確かに気性も言動も荒目なところはあるのですが、
それは同じ現場で仕事をするうえでちゃんとしていないから、
自分たちの負担が増すからくる当然の気持ちであり、
仕事をしに来ているのですから、それに見合う働きをすれば、
そんな人たちもちゃんと認めてくれるのだと分かりました。
そうして認められて分かったのですが、というかこれを言いたかったのですが、
別に彼らは悪い人たちではありません。
むしろ気の良い人の方が多いくらいでした。
(中には異様に良い匂いを時々させて現場にいるおいちゃんもいましたが……笑)

 

数年務めている間に自分の現場員にも多くの人たちが出入りをしました。
肉体労働を選んでおきながら文句たらたらであったり、
教えたことを覚えなかったり、
ミスを直そうとせずに現場の在り方の批判をしたり、
1日で来なくなるような人など(どんな仕事もそういうのはあると思うのですが)
色々いました。

 

それでも高校生のバイトくんたちでさえ、モノによっては
バリバリがんばっている子もいて、
自分の中でもやはりそれぞれ違った気持ちで接してしまいました。
年齢に関係なく、
頼れる奴は認めてしまうのは仕事のうえでは性のようなモノでしょうか。
(表面は仕事内容を教えるので同じようにしていましたが)

 

この運送会社の前職で自分が学んだこと。

 

そんな仕事内容と人間関係の力仕事の職場でしたが、
20代をなんとか務めきり、
目標に従って転職しました。

 

この前職の時代で学んだのは、
自分に何等かのビハインドや問題があっても、
出来ることを少しずつでもしていく根性や気概が
何かに結び付くこともある、というマインドと姿勢。

 

そして、
どんな問題があってもそれでぐじぐじしたり、
どうとでもひねり出せる言い訳をしていないで、
自分のできることを本気でやっていたら認めてくれる人も出てくることもあるよ、
何かが変化してくるよ、
ということでした。

 

それは同時に、
やる前からダメだとかどうとか思って躊躇っていないで、
やって確かめてみろ、ということもであります。
そして、やってみたことが100%の思い通りではなくても、
やれるだけやってみる、ということでもありました。

 

自分は結局のところ、いまもなお二十歳ころからの持病は残っています。
そこから
すべてが思い通りに行くわけではない、という人間の限界と当たり前を学ばされました。
けれどそれでもトライする。
そのトライが100%の思い描いた通りの達成でなくても。

 

かつて、『寄生獣』という漫画でラストバトルで
主人公が窮地にあり、イチかバチかの賭けに出るシーンで、
葛藤する彼はこう決断して勝利しました。

 

「やらなきゃゼロだ」

 

その言葉を強く言えるほど大きな成果は出していない自分ですが、
しかし、
この前職をしなかったら、
自分は持病があるからこんなのや、まともな仕事は無理だと見切りをつけていたら、
ここまで書いたような考え方も獲得できなかったかもしれないと思います。

 

そういう意味でも、
自分の前職はゼロではなかったと強く思えますし、
人からすれば
肉体労働の運送員~?なのかもしれませんが、
自分はそれを胸を張って『自分はしていた』と言えます。

 

自分の前職の肉体労働はそういう『ハート』を学ばされたという意味で、
有意義で思い出深い時間だったと今こうして書かせていただきました。

 

現状、コロナウイルスの件で世間は自粛ムードだけでなく、
外出を控えたり、仕事を自宅でなど、
どんどん厳しい状況になっていますが、
しかしその中でも多くの人々の生活の基盤となる流通のために
運送業を仕事とする人たちは今日も現場で荷物と格闘し、日本中の道路を走って働いています。

 

イメージ程に悪い人ばかりではない、

と現場で知った自分の目線で書いた本記事で

運送業を仕事とする人たちを少しでも思っていただけたら幸いです。

 

そんな自分の「しごとの思い出」の記事でした。

 

p.s.
前職以後、荷物の配達は代引きの際はきっちり用意して、
デリバリーの方に挨拶もしっかりするようになりました。
また、どんな仕事の方もその時々の事情での出来る限りを
踏ん張っているのだと想像できて、同じキツイ仕事をしてきた者として
店でレジさんなどにも丁寧に
「お願いします」「ありがとうございます」
を言うようになってだいぶ経ちます。

 

ではでは~。

 

転職nendo×はてなブログ 特別お題キャンペーン #しごとの思い出

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by 株式会社Jizai「転職nendo」