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とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「色々ありますが何よりかをりが……。『四月は君の嘘』第15話感想・改稿」


アニメ『四月は君の嘘』第15話の感想、改稿文になります。
おつきあいくださると幸いです。

 

今回は大きなポイントがいくつかありましたが、
なかでも一番大きな衝撃はラストにきます。
そのあまりの衝撃に他のあれこれの細かな感想を書くことに
あまり意味を感じないくらいです。

 

ですが、今話も君嘘キャラたちのさまざまな思いがあふれているので、
道を極めるの精神でいきますので、どうぞおつきあいください。

 

虹色の泥団子が砕けた過去の出来事は、
公生が進学によって離れていく椿を表していますが、
その椿はもう自分の本当の気持ちに気づいて斉藤先輩とは
これまでのようにまともに会話できません。

 

柏木さんが言っていましたが、
迷いが表に出やすいタイプのようで、
そんな椿を斉藤先輩は二人の付き合いも潮時と見たのか、
辛そうな椿に先んじて別れ話を切り出します。 
自分から振るという形で悪者になる斉藤先輩の優しさを感じます。

 

ただ正直、椿と斉藤先輩の別れは時間の問題という感はありましたので、
多くを言いますまい。
最初から100点満点の恋愛ができたら苦労しないよ、椿……。

 

それから傷心の椿を夜の音楽室で『月の光』を弾きながら
「いてもいなくても一緒なら……」
と寄り添う公生は、
ここでも彼なりの自己主張がなされたともいえます。 

 

このシーン、相変わらずどうしてこの時間帯の学校に這入れるんだか
というセキュリティゆるゆるが気になりますが……、
椿が音楽室に行ったのは公生に話を聞いてもらいたかったのもあるのでしょうかね。
その辺は、椿も少しずつ自分の気持ちに対して進んでいるのかもしれません。

 

本話は他にも超えるべき目標である公生をしっかりと見定めた絵見が
躍進を遂げていることや、
それとは対照的に公生の今の在り方に対して迷いのある武士が描かれます。

 

絵見はガラコンでの公生の覚醒をみて
「強敵をぶちのめす」
ことに燃え滾るやる気を出してきたのでわかるのですが、
ここで武士がイマイチさがるのは何故か?と改めて考えます。

 

考えられるのは、
超えるべき目標としていた公生がまったく違う演奏をしていたことで、
あれ?自分はあんな演奏の有馬公生を超えたかったんじゃないんだけど、
このまま打倒有馬でやり続けていいのか?
という自身の指針への迷いが生じたこと。

 

他には、自分は有馬公生の演奏に憧れて今のピアノスタイルを磨いてきたけれど、
有馬自身が彼のスタイルから変わってきて、
相対的にも自分の演奏はこれでいいのか?と
演奏の価値観が揺らいでいることから、
どう弾いていいか迷いが生じてきたという線。

 

もしくは、変わった公生の演奏に感じた衝撃に、
これまで通りの演奏ではいけないのでは?
変わり始めた公生の演奏に
彼がこのまま成長すれば今の自分の弾き方ではダメだ、と感じて
自分のスタイルを信じることに迷いが生じてしまったか……。

 

いずれにしても、武士はこの迷いにどう答えを見出すのか?
武士のピアノと、武士のとってのピアノそのものである公生への
アンサーが待たれます。

 

他にも当然今回は、藍里凪ちゃんの登場もポイントとして挙げられます。
木の上から公生に呪詛を送っていた彼女が、
紘子さんと出会い、弟子入りを申し出る。
それで弾いたのはショパン エチュードop.25-5
公生がコンクールで三度変化して弾いた曲。
ですが刺々しい演奏と、
潜入成功という心の声をだす彼女に、
公生に近づいて何かしようという意図――場合によっては悪意――
を感じます。

 

紘子さんはいち早く彼女の正体に気づき、
それでも凪を受け入れます。
彼女が何をもたらすのかをある種、前向きに期待して。

 

そんな各キャラたちのあれこれが描かれた本話。
けれどですよ、けれど!けれどけれどけれども!
 

それらがあったことを一気に忘れるかのような
かをりの身に迫る危機!

 

お気楽な「ぬーぬーカヌレー♪」
の鼻歌からの落差……
これは辛い……。

 

公生と明るく元気に電話をしていたかをりに
突然に襲い来る病魔……病院のリノリウムに膝を折り、尻をつく。
 

かをり自身も「あれ!?……あれ?」
と驚いていたように、
もしかしたらここまでの症状はこれまではなくて、
突然にきた自由の利かなさだったからこその恐怖であり、
その恐怖はいかほどだったかと思うとこのシーンの怖さや重さが倍増します。 

 

誰もいない昏い廊下で汗をかいて、呼吸を乱す横顔のこのシーン。

 

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 ©新川直司講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

 

 

フォーカスした人物がぶれる演出
(何という技法かは知りませんが、心理描写の演出としてたまに見ますね)
がされていて、
かをりの心の動揺、怖れと不安に揺れる心情が
より見ているこちらに伝わってショッキングなシーンでした。

 

かをちゃん…… 、
原作漫画を読んでいてアニメで今回このシーンがくるのだな、
と分かっていたのですがそれでもキツイシーンでした。
いや、かをり役の種田梨沙さんの演技と
映像演出のせいでよりこのシーンは重かったです。

 

あの元気で明るくカラフルだったかをりが
本当にこの先どうなるんだ!?
という不安と慄きが詰まったシーンでした。

 

この衝撃で当時の感想では本話のサブタイトル、
「うそつき」の意味についてはまったく触れなかったほどでした。

 

……今改めて見てもこのシーンはやはり辛い……かをちゃん……。

 

その「うそつき」について今回の改稿で触れると、

 

椿をふった斉藤先輩の『好きな人』に関するあれこれは
椿をふるための嘘だったのか?
斉藤先輩の前で度重なるように公生のことを話す椿に、
彼女に本当にあっている相手は公生だと感じた先輩が、
身を引くために、椿を思って
部活に実際にいる女性マネージャーを『好きな人』に設定して
語ったとも考えられるかもしれません……、
サブタイトルを重んじるなら実際には、そういう性格の女性マネージャー、
ないし、好きになった人がいる、というのは
椿を思って悪役を演じた斉藤先輩の嘘だったのかもしれません。
ここはややグレーゾーンですね。そっとしておきましょう。

 

他には、
椿に対して「そばにいるよ」といった公生の言葉は、
椿にしてみると「私から離れていくじゃない」という思いから
彼女にとっては嘘とみなされたこと、
他にもこのシーンは椿によりそう公生ですが、
その本心は誰に向いているのか?
という椿にもうすうす公生の目に一番映っている人が誰かが分かっているからこそ、
公生の言葉が幼馴染の椿を思っての言葉でも、
本当の本当のところでは心無い嘘に感じたということもあると思います。

 

あとは、当然凪のあれこれです。
彼女のついている嘘に関しては今後のエピソードで明かされていくことと思います。 

 

などなど、みんなして嘘をついている回でしたが、
けれどラストのかをりにしてみれば、
この自身の現実こそ「嘘でしょ!?」
だったのだとも改めて思います。

 

かをりの今後を思うと辛い結末の可能性がありますが、
へこたれないで君嘘を最後まで見届けるために
当時の感想ではありったけの驚きを書いていましたが、
そうやって精神の安定を図る行動もときに必要なのだと、
そんなことを学んだ視聴でもありました。

 

 (創作物に身を入れ過ぎではあるかもですが(苦笑)) 

 

しかし本話は前話の椿に留まらずにヒロイン2人とも泣かせるとは!
なんたる……けしからん……!!

 

だからこそ凪のコミカルさが緩和剤の役目を果たしているのか、
と思いますし、
作品をシリアスで重いだけにしないバランスのとり方というのを
今回の話で学びとることもできた回となりました。

 

ここにきて登場した凪が公生たちにどういう影響を与えるのか?
凪自身の青春にも興味を抱きながら次回を待ちます。
というか、かをちゃんが今後どうなるが気になりすぎるのです(震え 

 

ではでは、また次の君嘘の感想記事で~。