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とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「劇場版『コードギアスⅡ 叛道』鑑賞感想」


Ⅰに続いて視聴したⅡ叛道の感想を書いていきます。

 

 

全体を通してみると、忘れていた部分もあるのですが、
改めて本作を見ると
TV当時よく理解できていなかったことに以前より気づく自分がいました。
そのひとつとして、ルルーシュの性格があります。

 

 

以前、ラジオだったか何かの媒体で、
ルルーシュ役の福山潤さんが、ルルーシュのことを
「あいつ、賢いけどバカですから」
といっていたのが今回の視聴で「確かにな……」
と自分も思いました。
そのくらいには以前よりも彼のキャラクターを理解できたように思います。

 

 

それをいまだつたない理解ながら少しかたらせてもらうと、
ルルーシュって、
まず、チェスに始まり古典的戦術にしても策略に長けていて、
人間の心理構造も把握していて、こう煽ればこう感情が動く、
などもお手の物なところがありますよね。
(R2から登場した偽りの弟ロロを
記憶が戻ったあとで懐柔したのもその
心理面からの操作があってのことなわけで)

 

 

でも、こと大切な人であるナナリーが
本当は兄に何を望んでいるのか、
という肝心な気持ちや、
自分に超常の力を与え悠久を生きる不死の存在であるCCが
契約の対価として何を望んでいるのかとか、
そういうことに対して本当に鈍感で
自分本位で考えた幸せを与えようとしたりで
(ナナリーはそれとなく言っているのに、
ルルは自分の求める幸せのかたちを与えようとしているし、
不老不死の存在が生きるのに飽いたというのは
古今東西の定番なのですが……
だからこそまさかそんなベタな、と
考えから除外したとも考えられますが……)

 

 

こういうところ、
古き時代の父性というか、おやじ臭いというか、
自分本位で人の気持ちを考えない典型的なバカ者というか……。
それに親と同じ愚を繰り返してそれを正しいと思ってる面もあったりで、
うーん、バカみたい、と言わざるをえないんですよね。
(でも、そういうある種古典をしがちなのが人とも言えますが)
今ならルルをそういう風にも解釈できます。

いや、そうはいっても、本当に必死で熱くて泥臭くも
覚悟をもって自分の望む幸せに向かって行動していたのは、
方法が悪どいダークヒーローでも今なお格好いいんですけれどね、
ルルーシュは。

 


話をかえて、
本作は反対で逆、とともに、
嘘そのものや、そのための仮面、ペルソナについても触れていますね。
嘘と裏切りからの脱出、そのための反逆劇でもある本作、
(その方法が嘘と裏切りというのが皮肉でダークですが、
それが本作の外連味とも言えますね)
嘘は悲劇やドラマチックなどの良い味となってそここに描かれています。

 

 

ユフィの虐殺は今見てもショッキングです。
これはアニメの歴史に刻まれるような酷いシーンだよな、
と今なお思う。
いったんはユフィの覚悟にこの人となら、
と思えたルルがギアスの力のアクシデントとはいえ
ああいうミスでこの惨事になるのは酷い話だった。

 

 

そのユフィが逝く間際のスザクの嘘。
そしてCCもまたユフィを撃ったことで傷ついたルルーシュを労わるが、
このやさしさが
契約者に自らの望みを果たさせるまで折れてもらっては困るからこその
労わりなのか?そういう嘘なのか?
と深読みもしてしまいます。

 

 

マオなどのカットされたくだりでルルーシュとCCの絆は深まっていて、
(と、朧気に記憶しています。
間違っていたらすみません)
表面上は魔女だの坊やだの共犯者だの契約者だのと
互いに辛辣な言葉をかけ合っていますが、彼らのあいだには
そうした関係を超えた絆や愛情が芽生えているのは確かなわけで。
だからそうした言葉も上っ面の嘘なのだと思うのですが、

 

 

ここでの労わりのCCの心の奥を想像すると、
行動の結果と望む未来に対してつねに全力で必死で、
苦しみながらも先に進むことをやめない、
責任感と罪の意識と冷静さと情念と、
最愛の妹への愛とで懸命に生きるルルーシュという人間に、
CCは愛着や愛情が芽生え、
悠久を生きる彼女をしてかけがえのない価値をルルーシュに見出しているのではないか、
と今はそんなふうに思います。

 

 

だから、ユフィ後傷心のルルに対しての労わり、慰めも、
嘘でありながら嘘ばかりでもないような……と、
このシーンを今みてそう思ったりもします。

 

 

このあたりが、
この二人は上っ面を強がりや虚飾でおおっているけれど、
その深いところで実は互いを特別に思っている……
というような関係性が描かれているようで、
こりゃ当時からこの二人が人気なわけですよ。
この妙味ときたら……、と今更ながら思うわけです。
嘘ひとつとってもこれだけキャラクターを描き、魅せる。
面白い作品の力ですね。
(未熟なモノ書きとしては勉強になります)

 

 

当時、それをわからずとも物語性だけでも楽しめていたわけですが、
今みるとルルとCC二人の関係性にもぐっとくる作品でもあると思いました^^

 


あとは、変更点で気づいたこまごまとしたことを書くと、
シャーリー生存ルートへ。
ルルーシュが記憶を取り戻すあたりはTV版がどんなだったのか
覚えていないのですが、
(まあ、おおかたCCのちっすでしょう。まったくまったく、こいつらは……)
そのへんが描かれていなかったですね。
扇とヴィレッタの痴話喧嘩のシーンは少し変わっていたような。
それを小夜子さんが家政婦は見たするあたりが面白すぎました。
ディートハルトはいい味出してましたね。
「そうです、今が建国のとき……!」
とかゼロが復活して喜ぶシーンの声が
中田譲治さん、活き活きした演技されてるな~と楽しめました。
キャラも声優もどっちもその状況を楽しんでる感がありましたね。

 

 

コーネリアなのですが、今見るといろんな顔を持つキャラですね、彼女。
男勝りの女将軍、配下の男たちへの顔、
ユフィへの優しく強い姉としての顔、
シュナイゼルへみせるどこか女っぽい顔、
マリアンヌに憧れる少女の顔……
ギアスを追い暗部で戦う復讐と怒りなど様々な感情うずまく顔などなど。
実はかなりおいしい役どころですよね、コーネリア。
これは当時もそれで好きだった人多いんじゃないかなあ、と今更思います。

 

 

そんなⅡ、叛道。
ラストはスザクの決意か葛藤か、の顔での次の幕へ。
これはⅠのラストが涙をながすルルーシュ
Ⅱがスザクで、メイン3人が三部作のラストシーンを飾ることを予想させますね。
そうなると、Ⅲのエンディングは当然、TV版同様に彼女……
ということを予想させる、なかなか憎い構成をしていると言えますね。

 

 

では、Ⅲも楽しんで鑑賞させていただきます。
また次の『コードギアスⅢ 皇道』の感想で。