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とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「公生とかをり、二人の想いはどうなるのか……。『四月は君の嘘』第16話感想・改稿」

 

アニメ『四月は君の嘘』第16話の感想の改稿文になります。
おつきあいいただければ幸いです。

 

前回のラストはかをりのショッキングなシーンだったので、
心の安定のためにも少しそこから離れた映像だとよかったのですが、
けれど冒頭は今回のかをりが入院することになったガラコン前夜の
家のなかで倒れた様子が描かれています。

 

ここでも突然足にきてふらついて、
頭部を壁かどこかに激突させての流血……からの意識喪失で救急車……
だったようです。

 

色々な方がかをちゃんの病気は結局なんだったのか?
ということをお考えになっているようですが、
個人的には病名の特定はあんまりこの作品的には
意味がない気がしているのでそれには加わらなかったのですが
(いや、かをちゃんほどのヒロインを苦しめたにっくき病の
名を心に刻み、それに苦しむどこかの誰かに何等かの援助に繋げる、
という考え方ならそれも激しく同意なのですが)
こうした症状から専門的な知識と照合してある程度しぼることは
出来るのかもしれません。

 

でも本当、自分にとっては本作のラストはかをちゃんの過程を忘れないという意味でも
受け止める形だったので、ラス後に原因云々でもめるのはちょっと……
というスタンスだったのです。
その辺は今もあまり変わっていません。
余談でした。

 

ところで、かをりのどれくらい前からの症状か判かりませんが、
その対策のように彼女の家には廊下などに手すりが設けられていますね。

 

これ実は、もうだいぶ前になりますが、
母方の祖母が自宅療養する際に祖父が階段に設けていたので
既知の案件だったりしたのです。
というか、今もまだ階段に備え付けてあるようです。
結構年齢をいっていたのも加わって身体を難儀そうに動かしていたのを覚えているので、
それらからふらついて転倒することへの対策だったのでしょう。
そう考えるとかをりがちょっとした弾みでよろけて危機に陥ったのも納得できます。

 

そんなかをりに迫る深刻な現実を知らず、
女子中学生の凪といちゃこらしている公生(語弊がありまくる)

 

手加減すんなよ、という紘子さんの言葉に
凪に対して容赦の無い指導をする公生は、
もうだいぶ自己主張を当たり前にする人間になっていますね。

 

それは相手への言葉だけではなく、
楽譜はどういうモノか?
という音楽論に対しても凪の言葉に
自分の考えを主張していることからもみてとれます。

 

けど、容赦ない公生の指導に対してもあるのでしょうし、
もともと有馬公生への敵意を潜ませている節のある凪は
隙のある公生の手に対して(ピアニストの手ですよ……)
攻撃性を含んだ視線を向けているんですよね。

 

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  ©新川直司講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

 

 

「あ!手がすべっちゃったっ」

 

とハプニングを装いピアノの蓋をおろし公正の手を挟んで……
という悪事を目論んでいるかのような危険な目です。

 

彼女も公生と同じピアニストならその行為の罪深さは分かりそうなモノですが……
それだけの公生へのネガティブな何かがあるのか……。
凪ちゃん……君は何者なんだ……。

 

ところで、先ほどの楽譜に関しての論議ですが、
凪は譜面に従い弾くことこそが奏者にとって必要、
という考え方を持っているようです。
これはかつての公生に重なりますね。
そんな今回のサブタイトルは『似たもの同士』

 

この新キャラの凪は、
公生とはまるで異なる小悪魔さや我の強さを持ちながら、
以前の公生と重なる部分がちょくちょく見られる役柄で、

 

公生がかをりと出逢い、彼女との交流で変わってきたさまざまなことを、
今度は公生が凪にも与えていくのかもしれません。
この辺は、「愛の悲しみ」の回での言葉、
『音楽によって繋がっている』
ということを表現しているのかもしれませんし、
公生と凪がかをりと公生のように繋がることで、
公生と凪のあいだにも新たな何かが生じるかもしれない……
そんな予感もあるような二人に改めて思えます。

 

それに、かをりのお蔭で変わったモノ、公生がかをりから受け取ったモノを、
今度は公生が、変わった彼自身が誰かに与えていく、
というリレーは、まるでかをりが公生の中に息づいているという風にも受け取れます。
 『僕の中に君がいる』
ですね。
ではかをりにとって
『私の中に君がいる』はあるのでしょうか?
毎報コンクールでの公生の変化したピアノに
「君がいるよ」
 と述回したかをりにとって、
かをりの知るかつての公生がいて、その公生が彼女に中にいるとも思えます。
この辺は現時点では情報が限られているのでもう少し先に進んでから触れましょう。
 

前回、凪と遭遇する前に凶兆でかをりへのお見舞いを延期した公生は、
かをりのことが気になっているのですが、
それを見透かしたかのように目の前に現れるかをちゃん。
これはドキリとする。
デスティニーを感じてしまいがちなシーンです。

 

ところがこれにも色々裏がある感じですね。
渡の待ち伏せといいながら公生を代役にお買い物三昧の開始。

 

公生がかをりと一緒で紘子さんのところにピアノのレッスンにこないので、
凪のレッスンをしない公生に彼女が声を荒げます。
紘子さんも凪と差し向かいのこの機会に
彼女の公生への敵意について言及します。
 

「公生に危害を加えたら、私がぶっ殺してやる」

 

そこまで公生を愛する紘子さんですが、
ならなぜ敵意を潜ませる凪を迎え入れたのか?
凪もここで紘子さんにそれを問うのですが、

 

公生には幸せなピアニストになって欲しい。
それが紘子さんの考え。
凪はこれまでの悲しみ以外の何かを公生にくれそうだったから、
と彼女は漏らします。

 

これには凪も微妙な気分です。
何等かの公生への遺恨で彼に対して敵意を持っている凪ですが、
有馬公生ってこういう人間だったの?
ということを少しずつ知って、果たして彼女は何を思うのか。

 

それとこのシーンの紘子さんのいう
『幸せなピアニスト』
ってなんでしょうね?
幸せも色々定義がありますが……公生はどんな幸せを見出すのか……
「愛の悲しみ」の演奏で母との繋がりとそれをピアノに見出した公生にとっては……?
それはラストまで追って確認しましょう。

 

公生とかをりの二人は買い物を済ませて学校に鞄を取りに来ますが、
その時の

 

「嘘か!嘘ついたんか!?」
「鞄は学校にありましぇえん」

 

のやり取りが面白かったです(和み
カーテンのヴェールで嘘を演出するのが良いですし、
カーテンに隠れて涙目のかをちゃんが可愛いです。

 

それから学校の備品の自転車二人乗りでの帰り道。
公生もかをり同様に、この二人の時間の永遠を願うあたり、
公生のなかでの宮園かをりの定義は
徐々に『憧れ』から変化してきているようですね。

 

きらめき消えゆくさだめの流星を見る二人が
互いに内心ではこの瞬間の永遠を願う。
これを『ピアノの詩人』と呼ばれたショパンなら
どう奏でたでしょうね。
実はとても切ないシーンです…… 
公生がもしかをりへの気持ちを恋心と自覚したときに、
彼女が果たして健康でそれを遂げられるのか?

 

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  ©新川直司講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

 

そう想定したとき、
流星群の夜空のもとで涙をながすかをりの気持ちは
一体どんなモノだったのだろうか、と思いを巡らせます。
彼女がもし、自らの命の短さを知っていたならば……?
この場合公生でなくとも一体どんな言葉をかけてあげればよかったのか……。

 

そこまで想像はできなくても、
自転車の背中越しに聴こえるその泣き声が
とても辛そうだったとしたら……声をかけるべきではなかったのか?
それとも、ここで踏み込むことで、自己主張することで
何かが変わっていたのか?

 

例えば、かをりの実情を聴いた公生が違う気持ちでピアノに向かい、
かをりとの時間にこれまでとは違う態度が出たりとか。
いや、もし訊いたとして、かをりがすべてを告白したかどうかという問題もあります。
うーん、すべては必然……公生のここでの沈黙もやはり
のちの何かに繋がる意味があったのでしょう。 

 

凪の鞄についているマスコットが、
狸とスケルトンというのが、
今回のラストで明かされる彼女に近しい者との関係性を表しているようです。
 

狸が凪で、スケルトンがロックなピアニストの『ヒーロー』という。
その二つをセットで持っているあたりに凪の彼への想いが感じ取れそうです。

 

今回の『似たもの同士』は
前述の他にも立場的に届かぬ想いだったりもするようです。

 

果たしてこの二人の想いは形になるのか、どうなるのか。
公生にはかをりへの気持ちを明確にしてほしいものですが、
メアドを知らなくて、彼女のことを何も知らなくてと
ややブルーな気持ちは……少なくとも嫌いだったらそんなことは気にしない。
柏木さんのように
「じゃあ好き?」
と問われたら公生はどう答えるのか。
これはそういう話だと思うのですが……
そこは自己主張とは別の怖れなのでしょうかね。
恋に慣れていないと当たって砕けるのはむちゃ怖いですし、
(慣れていても相手への思いが強すぎると怖いのもあるでしょうし)
誰でも不安で怖くて、それで自分の気持ちに素直になったり行動できないこともあります。
ことに公生は言い訳ぐせがありますからね……

 

それに過去の演奏の舞台での大きなミスでやや自己肯定感もない。
コンクール常勝、天才と言われていたのも
母の言いなりの結果と彼は考えていたら健全な自信もそれほど……と、
色々考えられますが。

 

この気持ちへの回答は、
そして公生とかをりの今後は? 
……と気にしていたらまたもや不穏な空気をラストでぶっ込んできました……。

 

いちご同盟』のヒロインのセリフをなぞるかをり。

 

 「わたしと心中しない?」

 

これは当時の四月は君の嘘のアニメラジオで
佐倉さんも言っていましたが、
漫画原作の8巻はこれで〆だったので、
単行本派で9巻待ちの状態だった方々や
読み進めて手元に8巻までしかない状態だった人たちの
心の動揺は半端じゃなかっただろうと。
佐倉さん自体もそうだったという話でした。

 

というか実は、2014年の秋前から自分も1冊ずつ楽しんでいて
8巻ラストでこれだったので
翌日速攻で9巻を買いに書店に走ったのを覚えています。

 

ではまた次の君嘘の感想で~。