1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「小説家になろう連載作更新報告&序盤おためし掲載」

『ディアトリニティ・ディアフレンズ』の

第14回更新を

予定日よりも1日遅れの10月1日に行いました。

 

今回で第2.5話は終了。

 

次回より難関の二学期中間試験に挑む

トモやリョウ、カオリの様子が描かれます。

 

の、ですが。

 

既存の執筆済みの文量が更新を続けるに相応しくない状況で、

次回の更新は少し先のことにしました。

 

今月を使ってストックを書き溜めておきます。

 

しばしお待ちを。

 

それで代わりと言ってはなんですが、

サイトにて掲載している『ディアトリ』の

冒頭部をこのブログにも載せてみようと思います。

 

とりあえず、この趣味丸出しブログを書いている人が

どれほどの小説を書いているのか?

と少しでも興味を抱いた危篤なお方は、

そろそろと目を通して読んでみてください。

 

 

では、はじまりはじまり(*ノ≧Д≦)八(*゚Д゚*)八(^Д^*)ノィェーィ!

 

 

  ―――――――――――――――――――

 

ディアトリニティ・ディアフレンズ

作者:小生 刀史郎

 

第1話 Days with friends we

 

有沢さんの日常 1

   第一回

 

 ここにわたしがいる。

 

 わたしの側にはいつもの気の置けない顔ぶれがいる。

 そして同時に、わたしと彼らを取り巻く日常が、然として存在する。

 

 一人の少女――わたしがその眼に映している世界。

 

 自身の限界まで視野を広げた、そのさらにさらに先にある、多くのひとびとを内在する大きな、そして複雑な世間。

 

 言及するならば、複雑にみえるのは当事者たちが複雑に捉えて、

同時にそんなふうに考えているからだ、と口にする人もいる。

 

 しかし、などというある種の達観ともいうべき理屈をわたしは肯定しない。

 

 そう感じるものは、わたしという世界においては圧倒的にそれが真実なのだから。

 

 だから無理に急いてそのフィーリングを捻じ曲げることは、個々人の感性や、

姿勢や、価値判断能力といった資質にとって弊害を及ぼす。

 そう、社会への順応は貴くとも、世間体を強制し矯正することは、わたしにとって対峙し敵対すべきものだ。

 

 シンプルにそう感じ、信念にまで至るのであるから、やはり世間とは単純ではないのです。

 

 そういった世界と同時に確固としてある、一人ひとりの持つ世界。

 

 わたしの抱えるものと対比してみても、その両方が時々刻々と何かしらに追われていて、そして同じように常に目まぐるしく移ろっている実感。

 

 日常は単調なようでいて、単純には済ませられない複雑怪奇を帯びながら、

けれどあっさりと過ぎて、過ぎ去っていく。

 そして気付いたころには、単調が生む複雑怪奇のなかから形作られたものが、

わたしと、わたしの大切なものになってしまっている。

 

 人の生きた時間とは――人の営みとは、

真実から綾なす糸のように不可思議で、

どこか美しい。

 

 その中で少女が思うこと。

 

 ――変わらないモノがあるのだろうか。

 

 もしそういうモノがあるとしたなら、その変わらないモノというのは

一体何であるのか。

 

 世間にとって、でなくとも、自分の抱えるモノの中でそういうモノがあるとしたら、果たしてそれはどんなモノであるのか。

 

 わたしは思う。

 

 自身の長いのか短いのかすら判然としない人生において、

そうしたモノを見つけ得るのだろうか……と。

 

 ――見つけたいな。

 

 そう思う気持ちは、わたしの世界においては 

「変わらないことを願う」 

という種類の期待であり希望。

 

 それが儚いものだと思わないのは、

わたしがそれを複雑ではなく、単純に捉えているからなのだろう。

 

 けれど、それでいい、と思うのだ。

 

 今は、それでいい。……このままが好い。

 

 それがわたしの何かを時に阻むことになると、世界との間で感じていたとしても。

 

 瞳に映るものに対し恣意的で、慾のままであっても。

 

 わたしは欲し続けるだろう。

 

 手を伸ばし、声を上げて、求め続けるだろう。

 

 そう希求する、自らの狭いと形容して差し支えのない世界から、わたしは世間の人々に思いをはせる。

 

 

 ――みんなは自分だけの変わらないモノって、持っているのかな?

 

 

 

     ○     ●     ○

 

 

 

「おい、トモ……。おまえさっきから何読んでるんだ?」

 

「……うにゅ? 何って……、週に一度の滋養強壮剤ですよー。

これを妨げることはたとえ竹馬の友である先輩といえど、おてんとさまと大統領が許さないのです!」

 

 個人的想念領域における詩的で素敵な思考時間にひたっていた少女

――有沢トモ (十五歳) は、

トリップに割って入った声に対して機嫌をそこねたのか、若干意味不明がはいった応えをかえした。

ちなみに変なしゃべり方は彼女が幼稚園時代から身に着け、変わらないデフォルト。

 うっすらと茶味を帯びたセミロングの髪。

大きくくりっとした双眸は、こちらも茶色がはいっている。

ぱっと見で快活さがうかがえる表情をしているが、夏の盛りの次期でも肌の色が白い。

軽い水色のチュニックにアクセントに猫のバッジ、生地の薄い膝丈のパンツというスタイル。

 

 部屋の座卓に向かい、体育座りのトモの手には、週刊マンガ雑誌があった。

どうやらこの雑誌を読みながら物思いに耽っていたようだが、開いているページはハードなアクションものだった。

 

 トモの思考回路がいかようなモノであるのかが興味深いが、お題がお題である。老いも若きも世と自らの無常をなげいて、自分の中にだけでも確かなモノを見出したいという思いくらい、時には抱くだろう。

いや、ことが十代の少女のことならば、むしろ自身に変革を求める向きの方が強いことさえ、おかしくはないのだが……。

 

 しかし今の彼女は、自分の置かれた状況というものを鑑みて、

どうやら夢想タイムは慎むべきだったと知ることになる。

 

「夏休みは学校が休みなのは良いカンジだけれど、

読者としては合併号があるのが難ですよねー、本当まいりますよー、

あははっ」

 

 朗らかに笑うトモの頭部に、しっかりと指が握り込まれた拳が見舞われた。

 

「痛! ったふ」

 

 角度的に背を向けていた方向からの攻撃。

避けることもできずに打撃を食らい、前のめりになる。

そのはずみで雑誌の上辺に鼻頭を激突させた。

容姿にそぐわない変な悲鳴が漏れた。

 

「……うにゅぅ、何するんですかあ。

もお、先輩は昔からすぐ殴るしー」

 

「おまえが何してんだ? コラ」

 

 トモの抗議に対して何ら悪びれる様子もなく、

その声に怒気をはらませる 「先輩」。

 

 彼女は紺谷カオリ (十七歳)。

スレンダーですらりとしたスタイルにあったクールな短髪は、いかにもバンドマンといったカットで整えられている。

メッシュで赤色のはいった前髪からのぞく瞳はツリ目。

だが襟元を開けたノースリーブシャツにタイトジーンズでキメている彼女は美人だ。

 

 片膝を立てて睨んでくるカオリに 

「鼻うった……」 

と涙目になりながら説明を返すトモ。

 

「何って、休憩ですよう。

長時間の過酷な勉強でこわばった脳を、読書でマッサージ&ヒーリングです!」

 

 必死に弁明を試みるトモだったが、彼女の哀切をかもしだす泣き顔に反比例して、カオリの表情は修羅のように険しくなっていく。

 

「ほおぉぉおう。……おまえなぁ」

 

 カオリは座卓のトモの前に置かれたテキスト類を左手で強く叩き、トモに迫る。

 

「夏休みの課題もあるし、勉強みてくれっつーことで人の家に集まっといて 

「冷房がきいてないと暑くて集中できないんだよう」 

とかぬかした次はそれか!

 何だ、そのザマはよォ⁉ 殴るわ! 普通!」

 

 ここは紺谷宅、カオリの部屋。

 連日猛暑日が続く中、ただいま夏季休業中全開放流中の学生であるトモは、

幼馴染にコンタクトをとって、勉強を教えてもらっているところであったのだ。

彼女が自発的にお勉強会を開く打診をとって、結果このような状態になることはどうやら珍しくもないようで、

カオリはトモを叱りつけるのもタスクとばかりに容赦がない。

トモとしては別にお約束でも通過儀礼でもなく、素でこのような子なのが始末におけない。

 

「先輩、そんなにキンキン喚いていると顔が可愛くなくなっちゃいますよー。

ほら、その衣装ケースにしまい込んでいるファンシーなぬいぐるみでもモフモフして和んでくださいよー」

 

 楽しげで和やかな方向に話を持っていこうと機転を利かせたつもりのトモ。

しかしそれが逆効果だと経験から学んでいてもよさそうなものなのだが。

案の定、

 

「……それにふれるとはてめえしにたいのかおう……」

 

 火に油を注ぐことになっているのである。

 

 カオリ先輩に関するトモメモ 

《デフォルトで怒っている先輩は、怒らせると静かでちょーメンチ切ってくる。

命が惜しかったら速攻謝るべし!》

 

「いや……、その喋り方まじめに怖いです、ごめんなさい先輩」

 

 と青ざめて素直に詫びをいれるトモであった。

 カオリは嘆息して座卓の向かいの席の人物を見遣る。そして、

 

「ったく、ホントに昔からおまえはそんななんだからよォ。

リョウ、おまえも何か言ってやれ」

 

「うにゅぅ……、リョウくん、へるぷぅ……」

 

 声をかけられたのは木村リョウ(十六歳)。

この部屋にそろった幼馴染三人グループの一人。

とげとげとした黒い短髪。精悍な顔つきに鋭い目元。

あまり飾った風ではない黒のプリントTシャツと

ハーフのカーゴパンツに包まれた180㎝を超える長身は、しっかりと鍛えられている。

 

 女子二人の訴えに対して、応えるリョウはいたって冷静で、

口調は淡々としていた。

 

「俺達の通う学校の校則にかくありき。

十志英才じゅっしえいさい学園教育のススメ、十の内のひとつ。

年毎に二学期中間試験までの結果総計において、

合格点に満たない数が 「十四」 を超えたクラスの生徒は……」 

 

そこでリョウはビシッとトモを指差した。

 

「十一月の文化祭での出展、展示をする権利を失う」

 

 鉄面皮の仏頂面な顔だが、

ここはキメているのだろう、と察したトモが、

 

「な、なんだってぇ―――っ! 

それは一大事だっ 

大惨事だ! 

カタストロフだーーっ!」

 

 と大げさに驚いてみせる。

 

…………このおバカっぷりが強い娘のことだけに、今更感が満ち満ちているのだが。

 

 カオリはリョウの溜めと了解して、黙して平静状態だ。

それを裏付けるように、リョウはノートを閉じると、

 

「……俺も休憩するよ。

もう二時間近く経っていることだしね」 

 

 と告げた。

 トモが快哉をあげた。

カオリは肩をおとし、二人を睨むのであった。

 

 

 

     ○     ●     ○

 

 

 

 トモ、カオリ、リョウの三人は全国でも珍しい、

というよりもその存在が稀少といえる、小学校から大学までがエレベーター式

という小中高大一貫校の生徒である。

 

 その学校の名は 「十志英才学園」。

 

 

…and more

 

 

 

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続きが読んでみたい方がございましたら、

 

お急ぎならば「小説家になろう」サイトの

こちらへ。

 

既存の全14回、約63000文字(文庫本半分相当)

が自由に閲読可能です。

 

また、このブログで今回のように

『ディアトリ』の続きを掲載して欲しい、

という方がございましたら、コメント頂ければ

ペースを考えたうえでご要望にお応えするかもしれません。

 

さて、執筆のスケジュールを練って、

構成の見直しから始めますか。そして本文執筆。

がんばろう。

 

 

 

ではでは。