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とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「コードギアス『亡国のアキト』第2章「引き裂かれし翼竜」鑑賞・感想」


コードギアスシリーズの外伝、
『亡国のアキト』の第2章を鑑賞した感想になります。
おつきあいいただけると幸いです。

 

第1章でギアスの力で上官を亡き者にして
ミカエル騎士団のトップについたシン・ヒュウガ・シャイングが
ブリタニアヨーロッパ方面軍内で彼らの進軍の脅威と目される
ハンニバルの亡霊』を討つことを告げる。

 

その『ハンニバルの亡霊』であるwZERO部隊を率いるレイラは
城に戻り次の作戦までの待機状態を過ごしている。
その城内にはアキトの他、前回テロリストとしての犯行を阻止されて
wZERO部隊に入隊することを条件に安全の保障をされた
リョウ、ユキヤ、アヤノの三人も
専用の部屋で監視状態ではあるがともに生活していた。

 

そんな中、入ってきた次の作戦は
E.U.の政治上の都合で立てられたwZERO部隊『ワイヴァン隊』を
使い捨てにするもので、
レイラはアキトやリョウたちを生還させるための方策を考える。
立場や正論ではこの作戦を遂行することしかできず、
いかにしてワイヴァン隊を生還させるかが今回の目玉といえそう。

 

一方、元テロリストのリョウたちは監視されほぼ軟禁状態の
現状からの脱出と反逆の行動に出るが、
向かったKMFナイトメアフレーム)の格納庫でみた大気圏離脱式超長距離輸送機に
積まれたKMFから次の作戦を知らされ、
レイラが隊員の安全のために無人兵器ドローンを操作して援護するために
自らも出撃することを告げられる。

 

この間のやり取りで、
レイラはアヤノとも、
アキトはユキヤと会話をして、彼らの素性と感情の交流が行われる。
少しずつ互いを知っていくワイヴァン隊。
レイラも自分の正しさのために安全圏に留まれならないで無茶な選択をするあたりに
彼女の人道主義の芯の強さがうかがえますが、
それはまだアキトやリョウたちにはそれほど大きな意味はないようです。

 

そんな彼女だからこそ、
作戦待ちの状態でもいずれ死地に向かうことが決まっている隊員と、
そして死の影を帯びるアキトのことが妙に気になるようです。

 

作戦は大気圏外から地球を一周して目的交戦地点の反対方面からの奇襲。
しかし着陸後にリョウたちはアキトとレイラに対して攻撃を開始するあたり、
まだリョウたちイレブンの反抗の意思と、
ワイヴァン隊の司令官レイラと同僚アキトへの不信感が感じられます。
彼らが一丸となるときはくるのか……。
ブリタニアのような超大国と戦って生き延びるのに
個人的な小集団での抵抗は長生きの芽はかなりシビアに映りますが……。

 

それとも、この作品の人物の心中には、
ある種の現状の力と理不尽による世界への絶望があって、
自暴自棄なところでもあるのか……?
こんな腐れた世界はぶっ壊すなり、大きく反抗して乱してやるのが
せめてもの意趣返しであり生きている存在の証明である、とか……。

 

どんな人間にも虐げられていても意地や尊厳がありますから、
それを守るために命を懸けるということもあるのかもしれません。

 

コードギアスのような世界全体が戦争状態のなかに生きる人々には、
そんな命をかけた反抗、意地を見せつける生き方もあるのかもしれない。
こんな世の中でどうせ早死にするなら好きにやって世界に目にもの見せてやる、
……そういう人間の心理もまったく分からなくもないですし。

 

作戦はブリタニア側の長距離砲により退く方向へ。
そこでアキトたちはシンとアシュレイのミカエル隊と交戦するが、
そこでアキトにまたしても死を感じさせるギアスの呪いが表れ、
これがリョウたちと共有され、圧倒的な戦闘力でアシュレイたちを退ける。
この辺は、アキトにかけられたギアスの意味の解釈として、
前話のシンの上官のように死を命じられた
幼い頃のアキトが描かれていたことが気になります。

 

これはギアスによって死ぬために無理をしていることが
かえって生存に繋がっているのか?
攻撃が翻って最大の防御となるように、
命を賭した特攻が却って敵を撃退して生存に繋がっている……とか。

 

それとこの意識の共有に関してはコードギアス本編とは別の
本作で新たに出てきた要素のようで、
wZERO部隊の研究者の女性のかつての恋人が
その研究をしていたようです。
これが本作にどう絡むのか?
まだ2章であまりギアス能力についても分かりやすい存在感や意味は描かれておらず、
ここまではレイラとアキトたちの作戦行動と
それと敵対するブリタニアのヨーロッパ方面軍の様子が中心ですね。

 

その両陣営をつなぐかのようにこの戦闘で
アキトはシンと遭遇。
彼らは肉親関係のようです。
これは何故二人がこれほどまで現状の立場が違うものになったのか、
その辺にシンとギアスを使ったのし上がりの目的、
アキトたち肉親を殺した理由がありそうです。
シンもこの世界に対してなんらかの不満や憤り、
納得いかない何かがあってギアスという力に訴えているのでしょうか……。

 

シンとの遭遇後、ワイヴァン隊はなんとか戦線を離脱し、
今回は全員が生還することが出来ました。
いや、これいつ誰が脱落するか分からない作品世界でもありますから、
そのへん油断せず見ていきたいですね。

 

アキトが敵側の将と兄弟関係であることをレイラは心配しますが、
しかしアキトはまたしても不穏なことを告げる。
レイラにしたら同隊として生き延びて欲しい人の一人なのに、
普段から突き放すような言動をとり、
こんな遠くに行ってしまいそうなことを口にする彼に内心どんな気持ちなのか……。
勝手にすれば、と言ってしまえる程度の相手ならいいのかもしれませんが、
それがもし大切な存在になってしまったときに、
彼女にできることはあるのか?
現状は、アキトの所属するワイヴァン隊の生還のために
知恵を絞って努力するくらいかもしれませんが。

 

そんな中、
E.U.のユーロブリタニア軍に合流するスザクと軍師ジュリアス・キングスレイ。
いや、どう見てもルル(ry……
しかし、その知略がE.U.攻略に奮われるとしたら、
レイラとアキトにとっては更に生存を危ぶむ要素が増えたと言えます。

 

外伝であるこの『亡国アキト』に彼が出てきたのは、
アキトたちの生存を更に危機的にし、理不尽な世界の暴力性を描くためかもしれません。

 

前回の感想ではあまり触れなかったのですが
ED曲中はアニメのイメージボードのようなイラストが表示され、
各キャラの過去や描かれなかったシーンが描かれています。
この辺はコードギアスの定番ですね。

 

アシュレイは動物に育てられた野生児で、シンに拾われたのかな。
レイラがちょっとおっちょこちょいっぽいところを助けるアキトや、
アキトがレイラの猫を見かけて微笑んでいる貴重なシーンがありますね。
こういう本編の尺で描き切れない要素を見せていくのは、
漫画の単行本のカバー下のようでちょっと得した気分かもしれませんね。

 

そんな「コードギアス『亡国のアキト』」第2章の鑑賞、感想でした。
次回は本格的に軍師が介入して、
アキトとシンの衝突も激化するのか?
というか、ワイヴァン隊の結束とかあるのでしょうか?
当然、彼らの生存も心配ですが。

 

その辺も期待しながら、ではまた次の感想で~。