1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「読書感想『扇物語』西尾維新」

 

 大学生編、友人の命日子から始まりひたぎや老倉までも 『謝らせる』 
怪異とおぼしき妖魔令の事件と、
恒例の撫子パートを併録。

 

差し込まれるモノローグに対して油断していた一冊でした。
しかも巧い事に撫子編でパーティに加わるあの人物の登場をほのめかしてもいますね。

 

 大学生編は初期の本シリーズを踏襲しながらも、
その心理と解決法により深く踏み入り、
吸血鬼の力業ではない社会に生活する立場の人間としての解決を
なんとかアプローチしようとしているように思う。
この辺は、高校生時代の反省から変わろうとしている過程だと受け取れるが、
まだ満足にできていないあたり我らが阿良々木くんである。

 

 この変化は闇と影のキャラだった彼が
大学時代を通して光の指す場所に還っていくかのようだが、
怪異との縁自体は切れないのは
忍とのペアリングからもう必然ではあるが、
そんな光と闇の両方の立場だからこそ
怪異に悩む人たちを助けられる人間にもなっていくと思う。

 

大学生編では変わるところと、変わらないところが描かれるのかな?

 

 撫子がパーティを組んで向かうさきに待つ洗人が
あの人の近しい人というのは意外だったが、
確かにいい年だしいてもおかしくはない。
けれど、あの人にもうけさせる男なんて想像がつかないし、
恋しての……とも考えにくいので、案外直接の存在ではないのかも。

 

大学生編も残すところ二巻らしく、
スーサイドマスターの再登場や撫子編などで 
(しかも2巻同時刊行予定) 
久しぶりに西尾本の続きが楽しみです。

 


ではまた次の本の感想で。