1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「読書感想『走れメロス』 太宰治作品集」


 太宰治の作品集。
表題の 『走れメロス』ほか、『ダス・ゲマイネ』、『満願』、
富嶽百景』 などを収録。

 

解説によると太宰の安定していた前以降中期くらいの作品が多いらしい。
太宰治についてはこれまでほぼ経歴を知らなかったが、
今頃になって初めて 『走れメロス』 を読んでみた。
劣等感からくる後ろ向きで悶々とする人間、性格像が多いが、
メロスはそのなかでも健康的な面の表現された作品なよう。

 

しかし、作家としてはこの苦悩し劣等感にのたうち回る有り様こそが
共感を呼ぶのだと今は思う。
一冊を通して昔だったら好きになれなかったであろうぐじぐじッぷりだった。

 

 他には、生地青森の家族への負い目と、その和解の様子を綴った作品も数点収録。
太宰治を知るうえで年表を見るよりも分かりやすい本を手に取れたようでありがたかった。

 

一冊読み終わる頃には年表の各作品タイトルを読んでいるだけで
他の太宰作品も読みたいと思わされたのだから、
やはり人を惹きつける文豪の小説なのだと感じた。

 

富嶽百景の恋人が君に逢ってげらげら笑ったら慶祝である、はなるほどと思わされた。

 

ではまた次の本の感想で。