ノーベル文学賞も受賞したロシアの女性ジャーナリストによる
旧ソ連とドイツの戦時下における女性兵の実体を取材してまとめた書籍を、
コミカライズした作品。
内容も女性の肉体で行軍するさいの壮絶な様子や、
まだ年はもいかない女の子としての一面をみせる女性たち、
若く異性をからかう心ない兵士たちとのやり取りなどその実体が描かれる。
女性狙撃兵の話や敵兵や動物を殺すことへの罪悪感やその変化などは、
そうしないとやっていられない切実な戦争の渦中の人間たちを突きつけてくる。
夫婦で従軍して戦死した夫の処遇のエピソードや、
銃口の向くなか負傷した味方を救助するために歌を歌って歩みでる様子は
鬼気迫る女性の感情と強靱さを感じて迫るものがあった。
あんな歌を歌って鼓舞して味方を救う兵士を、しかも女性を撃てようものか。
そう分かっていても易々と出来ることではない。
祖国と同志のために戦争に志願した女性兵の強靱さが窺えるとともに、
とき女性にここまでを強いるのが戦争であるとも学ばされる。
500人に上る女性兵へのインタビューをまとめた原作の1巻、
様々な女性兵の言葉があったが、
下着の話で泣く筆者はそれだけの思いをして祖国のために戦ってくれた同士への感謝か、
同じ女性として戦争がそんなことを強いることへの悔しさか。
某機動兵器の富野監督が帯びコメントを書かれている本作は、
戦争にまつわることに興味のある方は読んで絶対損はないと思う。
続巻がでるなら是非読みたい作品。
ではまた次の本の感想で。