1046ワークス24口

とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「読書感想 『泣きたい私は猫をかぶる』 ノベライズ・岩佐まもる」

 

 アニメ映画のノベライズ作品。

 

内容は、家庭に事情がある主人公の少女が家庭と学校で違う仮面をかぶっている。
気を遣って家族と距離を置く美代と、
型破りな言動で思い人にアプローチするむげ、
そんな彼女は不思議なお面を手にして猫になり、猫の太郎も含めた三つの自分を抱えること。

 

猫になって思い人に会いにいく美代は
様々な言えない思いと苦しみからこのまま猫になってしまおうか、
とも思ってしまい猫化していって……
というペルソナとアイデンティティクライシス、
猫と恋と大切な人への思いに向き合っていくお話。

 

 結構良い構成だったといえて、
猫化した美代の仮面を継母の飼い猫のきなこがかぶって
家族に溶け込んでいくさまはホラーさもあったが、
割と皆いい人が多かった。
きなこも美代に成り代わるのは意味がないと気づくし。

 

猫の世界で同じく猫化してもう戻れない人々が団結して美代に協力してくれたり、
父の再婚相手も決して悪い人ではなく
美代の方から距離をおいていたからこじれていたと言えて、
ラストは大体のことは丸く納まった。

 

お面をくれたお面屋はその後も猫化を行うのかとか、
猫化した人たちはもう仕方ないのかとか未消化部分は余韻としておこう。
案外猫らしくのんびりしなやかにやっているかも。

 

 小説としては壮大で絶賛する作品ではないがちゃんとまとまっていた。
というのはノベライズによくあることかもしれないが、
田舎町の風景や猫たちの様子、お面屋など映像でどんな風に描かれるのか
興味あるので映画も視聴したい。


ではまた次の本の感想で。