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「コードギアス『亡国のアキト』第3章「輝くもの天より堕つ」鑑賞・感想」


コードギアスシリーズ外伝、『亡国のアキト』の第3章を
鑑賞した感想になります。
おつきいただけると幸いです。

 

前回、長距離移動輸送機を利用した作戦で、
アシュレイ隊と交戦し、シンとの遭遇、
兄弟であるアキトとシンの決裂があり、
そこから今回はワイヴァン隊が拠点である城に帰還できずにいるところが描かれています。

 

本章も、
アキトやレイラたち主役組のワイヴァン隊、
シンたちブリタニアのユーロピア方面軍、
それに加わるブリタニア本国からの使者である軍師とスザクと
E.U.のレイラとも親交のあるスマイラス将軍によるE.U.の戦況の変化が描かれます。

 

帰還のためのI.Dが無効になっていたのには、
第1章で無謀な作戦でイレブンを使い捨てにしようとして、
レイラに制圧されたアノウ中佐の嫌がらせによってシステムに手を加えられたようです。

 

この時点ではどうしたものかと困っている一同は、地元の旅の老婆たちに絡まれる。
そうして彼女たちとしばらく共同生活をすることになるアキトやレイラたち。
この老婆は戦争状況で行き場のなくなった人たちともとれますが、
その結構したたかで図太い様子や衣類がだいぶ前から旅のキャンピングカーに保管されていることから、
だいぶ前からそういう生活をしているようで、
むしろロマ、ジプシーに近い存在ではないか?と思われます。
ヨーロッパ地方でもありますし。

 

それに近しい裏付けのように、
レイラたちが共同生活で与えられた衣装は踊り子のようなデザインです。
(この辺は、キャラデザインのCLAMP先生の趣味もあったかもしれませんし、
製作側のオーダーに先生がノリノリでデザインしたとも考えられます)

 

この共同生活でワイヴァン隊はお互いの普段とは違った一面を知って行き、
関係が深まります。
ぶっきらぼうで達観しているようでいてアキトが魚が嫌いだったり、
あれだけガタイがよくて活動的なリョウが泳げなかったり、老婆たちにセクハラされたり、
ユキヤは電子的なことだけではなく家事もうまくて老婆たちに可愛がられたり、
アヤノが意外に無邪気な子供な面を見せたり、アキトに懐いたり、
レイラが家事は全然ポンコツでまじめに老婆の指導を受けるあたりは、
そりゃお互いに
(ああ、うん……)
ともなります。

 

人は隙が見えないよりも、ちょっとした隙があった方が相手を好きになるものだと思っています。
最初はテロをする側とされる側で敵対関係にあった彼らに絆が芽生える時間ですね。
こういう展開になると、
本作は戦争状態にある対立する者たちの一種の和解のアプローチもあるのか?
だとしてしかし、アキトとシンの兄弟はハッピーエンドになるのか?
それともギアスがらみでまったく別の展開になるのか?
などと今後の展開に思いをはせます。

 

そんな中、老婆たちの長に気に入られたレイラは彼女の占いで
過去に自分が『森の魔女』=C.C.に出逢い、
ギアス能力を与えられて生き延びたことを思い出す。
しかし幼かったレイラには力の行使への猶予が与えられたために
彼女はこれまでその力を知らず、使わずに来たようです。
けれどそれがレイラにとって大事な人を守る力になると老婆は言う。

 

ユキヤの調査でアノウの行った妨害をつきとめ、
逆にアノウにお仕置きもして無事に帰還の目途のたったワイヴァン隊の面々。
別れの宴で踊る面々のなかで、
一人アキトだけがこの輪を拒絶して離れるが、
それを追ったレイラは彼の過去、一族が兄によって全滅した話をきき、
自身の命への価値を見出さない死の影のあるアキトの心に触れる。

 

ここで思わず抱きしめてしまったのは、
このままにしては彼が遠くに行ってしまって一人ぼっちになってしまうような
胸騒ぎ、切迫感といった感情が湧いてのとっさの行動だったのかもしれませんが、
それをさせてしまうほどにレイラにとってアキトは大事な存在になっていたのでしょう。

 

この老婆たちとの共同生活でワイアヴァン隊みなの心が繋がり、
レイラのアキトへの想いも確かなモノとなった。

 

これはますます彼ら皆の生存が大きな課題となります。
果たしてラストまで全員生きていられるのか……?

 

城に帰還を果たしたワイヴァン隊だが、
それと間を置かずに軍師ジュリアスの策でE.U.に異変が。
『方舟の船団』を名乗るテロリストにより大規模な発電所の爆破が行われた映像がながれ、
またパリへの攻撃予告がなされた。
これによりE.U.では暴動が起こる。

 

この事態に乗じてE.U.の軍部を掌握することに踏み出すスマイラスだが、
その彼の前にギアスに関する存在なのか、
何等かの管理者のような物言いの謎の存在が表れる。
この辺は本作での新出の設定でしょうか。
この存在はどういう存在なのか?どういうことを目的とするのか?
は、時空のバランスが保たれていればそれでいい、
ということから、
超越的な存在として世界の管理者のようなな立ち位置としての目的を持っているようです。
この辺は、なぜスマイラスはこの存在を知ったのか?
などは詳しくは描かれていませんのでまだ分かりませんが、
これによってシンの命を管理者に要求されたスマイラスは
どんな手を使ってもブリタニアユーロピア軍との戦闘を進めて、
シンを討ち取るために動くのでしょう。

 

スマイラス、ひいてはE.U.と
ユーロブリタニアとの戦闘の激化の構図です。
アキトたちが帰還できずにいる間に描かれたE.U.の兵士たちの様子がありましたが、
兵士たちはだいぶやる気のない集まりで、
本作を通して描かれるこの地方の政府も人気とりで無能な集団のE.U.
ブリタニアとの戦争に本腰を入れるわけです。
そりゃもう、凄惨になるでしょう。
へたすればかなりの損害、死傷者が出ることを承知の攻勢になるでしょう。

 

ユーロブリタニア内ではシンとジュリアスがチェスを通してお互いの心理を探り、
そのさなかにジュリアスに異変が。
これにより彼が偽りの記憶によって軍師としてブリタニアの駒として使われている
第11皇子ルルーシュであることをシンは見抜き、
この後に彼をゼロとして処理したことにする。

 

そしてシンによるユーロブリタニア内でのクーデター的な全権の掌握。
これによってE.U.対シン率いるユーロブリタニアの戦争になり、

 

(同時にシンとユーロブリタニアブリタニア本国に反旗を翻したことになり、
E.U.を制しても激しい戦争状態は続くことでしょう。
それによってでる人的被害をシンが承知だとすれば、
これは人道や正義による戦争ではないのでしょう。
もはや破滅へと突き進む麒麟児のようです)

 

E.U.の一部隊であるワイヴァン隊も当然それに加わることになりと思われます。
避けられないかもしれないアキトとシンの対立。

現在、方舟によってE.U.の民衆は暴動の混乱にある。
レイラはジュリアスの策であるこの方舟の真相を見抜き、
方舟への突入、制圧作戦を立案。
ワイヴァン隊の面々は乗り気だが、
そんな中、アキトが自分だけいいと他のメンバーの動向を拒否する。
ここからの悶着が彼らに生じた繋がりをよく表しています。
ワイヴァン隊、結束できたんですね。

 

ところで、本作は城の脳科学研究者の間で
BRS理論というのが出てきます。

 

2章で戦闘中のアキトとリョウたちの脳派と思考がリンクした
あの現象をもともと研究課題としていたようで、

 

これについてはブレインリンクシステム?と思いましたが、
調べるとブレインレイドシステムのようです。
レイドは複数のハードディスク間のデータ転送速度などの向上の装置らしいので、
数人の脳と意識を相互共有させるためのシステム、ということでしょうか。

 

ある種、『ガンダム00』のGN粒子のような意識を共有することを目的としていて、
その先には人が分かり合い繋がりあうことも可能になるシステムの面もあるのでしょうし、
医学的な応用、発展も考えられる高度な技術と言えそうです。

本作でこれらが繋がることがどう活きてくるのか、
最終的に戦争や世界へのメッセージとなるのか、などこの時点から考えられることもあります。
ただ、これはコードギアスシリーズの中盤の時系列の作品なので、
本作終了時もゼロとブリタニアの戦いで世界は安定していないはずですが……、
そうなると、このシステムや意識の共有、繋がりで本作をどういう結末として描くのか?
といったことも気になり始めます。

 

そんな第3章でしたが、
E.U.の戦況はジュリアスの策とシンによってより全面的な戦闘へ向かう気配。
スマイラス将軍も何かをしてきそうですが、
ワイヴァン隊はみんなでの生き残りを思いながら、
その手駒のひとつである彼らは次の作戦へ。

 

予告を見るとアシュレイが迎え撃つ気配です。
良家のお坊ちゃんと反発感もあったヨハネによって、
アキトの猛攻から命を救われた彼の感情がどう爆発するのか。

 

ではまた次回の感想で。