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とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「公生の恋心の自覚……と思った矢先に!!?『四月は君の嘘』第20話感想・改稿」

 

アニメ『四月は君の嘘』第20話の感想の改稿文になります。
おつきあいいただけると幸いです。

 

今回はAパートでは椿と公生は、Bパートではかをりと公生の2つで
ヒロインとの関係について描かれている恋愛回ともいえるかもしれません。

 

冒頭、幼少期の椿と公生から始まり、
女の子に対して失礼千万な揶揄をされるほど健康的な椿が
奇妙な、特徴的なくしゃみをしている様子が描かれます。

 

何故わざわざ風邪のエピソードなのか?
これはあとあと何かに繋がってくる気配もやや感じます。

 

公生のために苦手な勉強をがんばって受験の判定をあげて、
それを公生に自慢しようとして……
という椿の公生を思う一喜一憂。

 

でもその陰では公生も、
かをりと再共演を約束するくらいに、
視線は彼女の顔にとまるくらいに気になる娘でありながら、
かをりと渡のあいだで椿と同じようにブルーになったりです。

 

そんな公生の心のなかでは、
かをりと自分の定義づけがこれまでと同様にされます。
盗撮魔で代役で伴奏者、友達を好きな女の子……

 

この彼の内心は、
ここまで来た公生にとっては、
まるっきり、自分の気持ちに目を逸らす言い訳のようです。
自己主張ができるようになっても、
恋に踏み出すのはまた別の度胸や覚悟がいるようで……。

 

ここで挟まれる過去の公生と椿の会話で、
自分の気持ちを隠してしまう悪い癖が公生にはあることと、
そんな公生の本心を椿はいつもずっと気づいていたということが描かれて、
これがこの後の駄菓子屋の軒先での雨宿りに繋がります。

 

渡がいることでかをりのお見舞いを避けた公生の本心を、
椿は口にしてしまいます。

 

体重が意外と軽いだの、
ハンカチが可愛いだので、
椿のことを女の子だといいながら、
ふられたときには「一緒にいるよ」といった公生が、
その本心では宮園かをりという女の子にことを椿のことよりも考えていそうで、
なのにその公生は、
なんだかんだと言い訳する意気地のなさや、自分へのあいまいな態度、
それなのに椿の方は公生と一緒にいるために必死になっていること……
そういう苛立ちがここでちょっとした発火を起こして公生への言及となって表れたのかもしれません。
 

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 ©新川直司講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

 

 ここで公生もようやく、自分のかをりへの気持ちを自覚しました。

 

その駄目押しをしたのが、
かをりと出会う直前に出逢った人によって世界が色づき始めると、
人生が変わると言った他ならぬ椿というのが、
しかも椿はずっと公生のことを同じように思っていたのに、
なんとも皮肉と言うか……

 

 ……まあ、半分は椿が素直じゃないのも原因ともいえますが。

 

公生の椿に言葉で言われて、てそうか、と静かに納得した短い肯定の言葉。
それを耳にした椿の苦痛そうな表情がちょっとかわいそうです。
正ヒロインをかをりとした場合、
主人公の公生とヒロインのかをりの恋を進展させる当て馬のポジションは
椿といえるのでしょうけれど、
このシーンとここに至る椿を見てきた視聴者や読者の方々には
椿への応援の気持ちも高まるようなシーンとも言えそうです。

 

その後に自分の恋心を椿なりに表現して、
気恥ずかしさから蹴りを入れてエスケープする様も
不器用な青春をしていて可愛さが増しますね。

 

本作では椿は、
公生を『弟みたいな存在』と自分の気持ちに『嘘』をついて、
踏み出せないで留まっていたという面があり、
ここで椿は自ら止まった時間を動かして走り出したようです。
白い息を吐いて走っていく椿が、青春やなあ、という感じです。

 

紘子さんが岐路に立っていると言いますが、
このシーンは原作では

 

「ロングの娘?ショートの娘?どっちにするの?」

 

と公生はかをりと椿のどちらを好きだと自らに定めるのか、
そこも紘子さんはそろそろ決めなくては
進学先によっては放置できない問題になる、と匂わせています。

 

ただこのカットされたセリフ、
メタ的な解釈によっては新川先生がかをりと椿のどちらを公生と結びつけるか、
それをそろそろ確定しなくてはならない時期に差し掛かっていたことの
心境の表れとも受け取れるかもしれません。

 

場合よって、
かをりの病状が思わしくない方向に進んで椿と結ばれたり、
かをりが回復して公生と結ばれたり、
そういう岐路でもあったと言えるかもしれません。

 

けれど思うに、ガラコン後の紘子さんと落合先生の会話から、
本作は母を失って前に進めるようになった経緯も含めて、
失ってでも進む
というテーマ性を持っているように感じています。
だとしたら、こちらも原作の過去描写で
紘子さんが旦那との喧嘩を戦争と喝破したコマで

 

『道を極める』

 

とあったように、『そういう路線』で極めるという線もあるのかもしれません。

 

その後に、公生はかをりからお見舞いに来なくていいと言われるも、
かをりのことを思うと心が躍る自分に
自らの気持ちを『恋だと』ようやく本当の本当に自ら肯定します。

 

このシーンの公生のポエム調のモノローグは
ショパンでもある公生の恋の詩情なのでしょうかね。

 

さらにここで
「君に逢いたいんだ」
と告げた時の映像では後ろ姿だったかをりの気持ちや表情を想像してみると、
かなり「わー!」という感じで楽しいです。

 

少しだけ書いてしまうと、
最終回を見たあとでこのシーンを考えると
かをりの真意からすれば、内なるかをりがガッツポーズモノだったことでしょう。
 

もう一つ書くと、
このシーンとAパートの椿との駄菓子屋のシーンでは公生のそばに黒猫がいます。
これまで公生にとって黒猫は
自己主張の迷いの象徴として幻影の姿をとっていました。
それがここで公生の想いが形をとった時に黒猫が実体化している……。

 

そしてこの後にその黒猫はああいうことになるわけです。

 

かをりへの恋心を自覚して、
渡にも宣戦布告のように自分のかをりへの想いを言って、
さあこれからだというときに、
そのかをりを襲う急変……!

 

その後に猫は……。
公生の手が赤く染まる。

 

春にかをりに手を引かれ、
怖れに向き合う旅に掌を合わせて、
かをりに導かれてピアノを弾いた公生の手が。

 

かをりとの思い出が残るその手が。

 

ああ、これは見てるこっちも辛いな……。

 

公生の嗚咽が胸に迫ってきて、
く、苦しいです……(泣

 

でもここで敢えて言わせてもらうと、公生。
冬場の屋外の水道水で手を洗ったりしたら、
なおさら神経が刺激されて辛いことが一層沁みるから!
誰か助けてあげて!

 

これ、次の回ごろから控えるコンクールの本選は大丈夫なのでしょうか?
と心配になる。
いや、うっかり公生だけにフォーカスしそうになるけど、
それ以前にかをりの容態は本当大丈夫なのか!!?
と色々戦々恐々な今回のラストとなりました。
 

せめて誰かの掌や、何かの存在が
公生の凍えた手と心を温めてくれることを願います。

 

ときに、
単行本で8巻のかをりと、10巻のこの公生の嗚咽を比較してみると……
胸に来すぎるのでちゅういです
ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!
 

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今回のエピソードの
お正月から駄菓子屋での椿の告白から始まる四月は君の嘘終盤の
椿視点の二次創作小説の自著をPixivで公開しております。

四月は君の嘘 『春待ちバラード』

www.pixiv.net

興味あればご一読くださると嬉しいです。


ではまた君嘘の感想でお逢いしましょう~。
あと2話!!