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とーしろさんの趣味よもやま話の通用口。

「忘れられない風景。曇天を吹き飛ばして飛び込もう。『四月は君の嘘』第5話感想」

 

アニメ『四月は君の嘘』の5話の感想になります。
以前は、この回の感想記事を事情があって飛ばしていたので今回初めて書くことになりました。
おつきあいくださると幸いです。

 

前回のヴァイオリンコンクールのかをりと公生の出番から場面は変わって、
どこかの扉を開ける椿、渡、それに公生。

 

いったいなにかと思っていたら、
まず飛び込んできたのは白い肌(///)

 

公生たちはかをりが検査入院をしたお見舞いに来たようです。
ちょうどかをりが看護師さん(担当看護師は女性のようです)に
身体を拭いてもらっていたようで、
その白い肌を公生たちは目撃してしまったわけです(あらまあ

 

けれど、直後に椿の殺人まわし蹴りによって脳天を破壊され、
公生と渡はノックダウン。
かをりちゃんの悲痛な叫びがこだまします。

 

この時のセリフは、あとから見ると暗示的ですね。

 

演奏の直後に倒れたことを心配する公生たち。
かをりはこういうことはこれまでなかったと言いますが、
公生はどこか違和感を覚えます。
それに、コンクールを演奏中断で台無しにしたことへの後ろめたさもあり、
色々と複雑な公生です。

 

病院は母親が入院していたことで、
あまり良い思い出の場所でもないという事情もまたあるのでしょう。

 

帰り間際、かをりが公生に問う。
ピアノは弾いているか。
公生は自分がピアノしかないみたいだとどこか曇った心持です。
あれだけの共演をしていながら、
まだ公生はピアノと正面から向き合えないようです。
うーん、ぱっとしないなあ、
ぐずついてぐじぐじしてる。

 

そんな公生の様子を反映するかのように、
今回は曇天模様の曇り空です。

 

その空のもとで渡が、鮮烈な演奏をしたかをりと公生が目に焼き付いて、
「忘れられない」から、
負けてられないとばかりにサッカーに励む。

 

椿は友人の柏木さんと帰り道、
幼いころに川によく飛び込んだ橋を通る。
その椿の目がいつもよりもどこか曇っていることを柏木さんは指摘します。
前回の公生とかをりの演奏時のすがた。
公生が少し変化している。ピアノは弾いて欲しかったけど、
この変化は椿にとって少し思わしくなかったのかもしれません。
こちらもこちらでぐずついていますね。

 

公生は、曇り空のもと歩き、その心は渡が言ったように
かをりと実現させた音楽の感動と興奮の瞬間を「忘れられない」

 

必死にそのイメージを振り切ろうと走って帰って、
けれどたどりついた先にはピアノがある。
公生にとってピアノは、距離をおきたいけれどとても離れがたい、
彼にとっての一部であり、演奏の瞬間、彼のすべてだった。

 

公生はどうしても演奏家なのだと感じさせる。
本作はやはり、障害を負い挫折したピアニスト有馬公生の再生への物語でもあるようです。

 

学校で、公生はかをりが退院したのを見かけるが、そのそばには渡が。
自分は伴奏者としてかをりに協力しただけ。
彼女は渡が好き。
公生は自分に言い聞かせるようにそう唱える。
もう、彼女との演奏が、彼女の音が、彼女の姿が目に焼き付いて忘れられないのに、
こう思ってしまう公生……青春の悩みは尽きぬよのう……。

 

そんな公生を見透かしたように現れるかをり。
椿が語った橋のうえ。
かをりはコンクールを台無しにしたお詫びに公生にお願いをします。
ピアノのコンクールに出て。

 

ここからの二人のやり取りがとても素敵です。
まだ怖いとしたを向き言い訳をする公生。
それを笑い飛ばし、
怖さを肯定し、それでもまた音楽に向かう強さを語るかをり。

 

「そうやって、もっとも美しい嘘が生まれる」

 

かをりの告げた言葉の真意はなんでしょうか。
自分を鼓舞し、弱さと怖れという真実に嘘をついて突き進むことでこそ、
人は何かが果たされることを語ったのでしょうか。

 

運命や真の善というモノは本来、それを前もって知ることはできず、
自分の信じたように行った行為をそれが済んだあとで誰かが観測して
「あれは運命だった」「あの人は本当に善人だった」
というようなモノであり、
もしかしたら、この『美しい嘘』というのも、
四月は君の嘘』のタイトルが示すうように、
かをりか、彼女を含む誰かの『嘘』が完成されるまでを描くのかもしれません。

 

彼女の嘘とは。
四月の嘘とは。
それが明かされるとき、かをりや公生はどうなっているのか。
できるなら、彼らが今よりも幸せになっていることを願います。

 

かをりの言葉のきらきらした輝きに、ネガティブな公生は怯み、
でも彼女とともに実現させた光景を「忘れらるはずない」

 

「私たち14歳だよ。思い切って飛び込もうよ!」

 

かをりのすべての言葉と行動に突き動かされ、うじうじしていた公生は飛び込む。
忘れられない光景を求めて、今とは違う世界に向けて。

 

二人のやり取りからここまでのシーンの盛り上がりが良いです。
『ザ・青春』ですね。

 

茜色の空のした、飛び込んだ川のなかで笑う二人を、
曇天模様の雲のすきまからのぞく星々が、
彼らとこれからをあらわすように輝いていた……さて、
川に飛び込んでびしょ濡れのかをりを、どうしましょう?

 

以下次回(笑