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「Gレコの本当の見どころとは。劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ Ⅱ ベルリ撃進』鑑賞感想」


ガンダム映画最新作である本作、
ガンダム Gのレコンギスタ』の第二部をDMMでネット視聴したので
その感想を書かせていただきます。

 

Ⅰの頃は少しブログから離れていたので感想は書いておらず、
少ししたらⅠの感想を改めて記事にしたいと思います。
今回は、先日2月21日に劇場公開された

GのレコンギスタⅡ ベルリ撃進
の感想になります。

 

Gのレコンギスタ 公式サイト

www.g-reco.net

 

さきに申し上げますと、この記事では本作、Ⅱのエピソード面での解説はいたしません。
自分はTV版は宇宙でラライヤが記憶が戻ったあたりで
見なくなった人間であり、内容をあまり深く考えることもなかったので、
詳しい設定や世界観にそれほど明るくありません。
気合の入ったガンダムファン、富野御大を信望する方たちからみたら、
そんな半端な見方でガンダム世界を語って欲しくもないと思えます。

 

なので、今回の記事では解説という形の感想ではなく、
Gのレコンギスタ(以下『Gレコ)』を創作作品としてどうみるか、
その『自分なりのGレコの見どころ』
という視点で自分なりに語りたいと思います。
前置きが長くなりましたが、
ご興味とお時間のある方はお付き合いくださると幸いです。

 

Gレコの見どころとは?

 

まず本作、Ⅱでは作品の導入であったⅠよりも、とにかく
モビルスーツによるロボットの戦闘が多かったのが印象強かったです。
序盤から戦闘ががっつりと、そしてⅡをとおして何度戦闘があったことか。

 

けれど、あえて言うならば、
バトルがすごい、というのはロボットモノのアニメではむしろ
必要最低限守るべきラインであり、
ガンダムほどの作品であってもなくても
そのくらいはやらなくて劇場版映画など論外、という感慨も今時はあるとも思えます。
やや強いモノ言いに感じるかもしれませんが、
本作において『バトルがすごい』は、自分としては特筆すべき点ではないと考えます。

 

では、本作の見どころは何か?となると、
少し物語論にも触れるのですが、

 

小説、漫画、映画、そしてロボットモノも含むアニメなどの物語は、
『人間』を描くモノであるというのが大前提だと思います。
ロボットが動いて派手に見栄のあるポーズとアクションで敵機を倒すだけの作品なら、
そもそもガンダムもここまでの歴史あるビッグタイトルにはならなかったでしょう。
そこはこのような言い方をしなくても、
なんとなく皆さんも分かっていたことと思います。

 

物語は、

その世界や各地域の社会状況や、そこに生きる人々の生活環境、
そのなかでの人間関係、そして彼らの『体験』を加味して、
何故この人たちは、この主人公は、このヒロインは、この友人は、
こう考え、行動するのか?
こういう生まれ育ちと経験を経てきたバックボーンならこういう性格で、
だからこういう言動をするのかな?という合理的な理解を通して
(読者や視聴者はそれを時に直感で、時に言語化した思考で行う)
自分とは違う環境や経験をする人間の心情を共有することが

最大の楽しみであり意義であると思います。

 

そこに現実の自分や近しい人に寄り添う共感があったり、
未知の世界に身を置く人々の心情や、現実とは違った刺激を共有することで
現実のいっときの憩いとする。楽しみとする。

 

まあ、ロボットのバトルが格好いいことがその憩いであり楽しさだよ、
そのためのロボットモノだよ、という考え方も分かります。
作品の見方は人それぞれで、どの意見にしても『それひとつ』だけが正しい
というわけではないのも分かります。
それに、ガンダム以来40年です。多くの漫画やアニメ、
映画に触れてきたであろう玄人の方も多くいらっしゃる中には、
そんなことは当たり前、という考えの方も多くあることと思います。
キャラが良いのは当たり前。ロボットモノであってもそれがあってこそ、と。

 

ですが、ここはあえてそのキャラ、人物たちの営みと感情を読み取ることを
自分はこの作品の見どころとして挙げたいです。
それはなぜかというならば、
富野監督が手掛けた本作が何より含意、『メッセージ性』に富み、優れているからです。
(本シリーズを最後まで通してみていない人間の、映画Ⅱまでを見た意見なのですが、
現時点ではそう思えるのでこう語らせていただいております)

 

本作は、これまでのガンダム作品のような
対立の構図としての問題と世界にとどまらない、
さまざまな現実の世界の要素と立場や境遇の人々、
戦争を含む社会の問題に囲まれて生活する人々を描いている作品だと思うのです。

 

個人的な意見ですが、これだけ描かれている作品で、
そこにある人々の世界と問題への心情を理解せず、
ただ漫然とロボットのアクションを堪能するのはもう、
大損をしているようにも思えてしまいます。

 

むろん、自分を含むすべての人が監督の意図した現代の人類の抱える様々な問題と、
なによりそれへの人々の心情を余すところなくすべて読み解けるかというと、
それはいささか疑問です。
自分もすべて読み解けるかと言われるとノーです。現時点、はっきり言って。

 

ですが、このGレコは
その視聴者のアクションに堪えうるだけの懐がある作品であるとも節々から感じています。

富野監督は、初代ガンダム宇宙世紀で提示した『ニュータイプ概念』によって
戦争がいまだある現実の世界を変えうる限界を知り、
それでもなお自分に創作を通して出来ることはと考えられて、
今だ戦争を抱えるリアルの我々の世界について、ガンダムという看板を通して

 

リアルが抱える様々な問題――国から地域、ある組織や集団という規模の大小までの社会、
民族、宗教、各々の信じるモノ、立場、差別、格差、劣等感、批判と見下し、攻撃、不理解、不寛容、
そして利益と都合、欲、利己的な身勝手からの小から大までの争い――
を描くことで、人々がなぜそれを起こしてしまうのか?
その人々の心理の奥底には、争いに発展する時、何があるのか?と、

 

それを若い世代に考える機会(それは視聴後すぐでなくても良い。
彼らの人生において投じた一石のように波紋となって、
人生のある時に考える機会になるのだって良いのだと思う)と、
考えられたことで
『では、その問題に自分たちが直面した時に
いったいどのように考え、行動するのがベストなのか?
(そのベストは、利己的に偏り他者を害するのではなく、誰かや社会にとって
争いを回避して、個人からそれ以上の世界の平和へとつながるようなベストであると
なお良いのかもしれない)
Gレコの人々と同じような問題で世界中で人々が、そして今自分が苦しまされる問題は、
この感情の起こる現実に対して、自分は具体的にどう考え、行動するべきなのか?』

 

を富野監督は考えて欲しいの『かも』しれない。

 

そうした一人一人が増えることで、
もしくはそうした発展的な(『00』で言うとイノベーター的な、進歩的な精神的在り方な)人を起点に、
その人たちが起こした何らかのアクションを起点に
世界の人々の『問題に対しての意識と、その対処』が変わるかもしれない。

 

ニュータイプのようなある種、進化系ではなく、
人間の知性の成長としての、平和の模索。
Gレコは富野監督のそうした願いと、若い世代への(昔からガンダム愛する人々だって
そこにはきっと含まれているはず。なぜなら彼だって今この世界に生きる一員なのだから)
期待が込められている作品にも感じるのです。

 

だからこそ、ロボットのバトルだけに興奮するのではなく、
この作品世界とそこに住む人々が抱える問題や、
その根っこにある人間の心情を想像し、読み取る楽しみ方をしても良いと思うのです。

 

だから自分は、それをこそ、本作の見どころとして挙げたい次第です。
繰り返しになりますが、本作はそれに充分堪えうる内容となっていると思います。
そこは、御年80を前にしてもいまだ衰えることのない創作意欲の富野監督の全力の創作ですし、
以前のインタビューでGレコはさまざまな現代的な問題を込めた作品とおっしゃられていましたので、
間違いないと思われます。
自分も本作を映画で改めて見て、
TV版当時はただただ勢いよく状況が進行していくことに圧倒されていた内容に、
今はそうしたさまざまな問題を確かに読み取ったからこそ
本作は確かにそうした意味合いもある懐の深い作品だと感じますし、
本ポストで自分が前述したような捉え方にも充分に堪えうる作品であると思います。

 

だから本作の見どころは、そこにあると自分は考えます。
Ⅱ単体だけではなく、全体を通して考える余地と機会を提示してくれている、
Gのレコンギスタ』はそんな作品では、と
本劇場版を鑑賞して考えた次第です。

 

本当、欲とか劣等感とか、
子供のころから周りから学習した安易なパターンを選びがちですからね……
それに対して、自分なりの考え方の成長をするのが良いと考えますが……。

 

以上が、自分が『ガンダム GのレコンギスタⅡ ベルリ撃進』を鑑賞しての感想です。
本当、内容の解説ではありませんので、それを期待された方には申し訳ありません。
しかし、本作の見方のひとつの形として、
これを読まれた方に何らかの前向きなプラスになることを祈ります。
富野監督もその作品群を
自己満足のオ〇ニーとしてだけ世に送り出しているのでは決してないと思います。
そこには、その人生で世界と人々を見てきた一人の人間としての
思いと憂いがあるのかもしれません。
ガンダムファンの好意的な解釈という見方もできるかもですが……)
ガンダムは、その富野監督の世界と人々への願いと祈りの作品であるとも
取れるかもしれませんね。

 

だから自分は…、
ガンダムに力を与えられた少年のひとりだったからこそ、
その願いに少しでも応えられるようにしたいと思います。
少しずつでも。自分にできる範囲でも。怯まずに。元気に!

 

今後、Gレコ劇場版が無事完結するまで、
それを追いかけ、またベルリたちの世界とすべてに思いをはせたいと思います。

長くなりましたが、今回はここらで。Ⅰの感想記事も後日。

 

ではでは~。